A_Breeding_01.html

1.家畜育種とは


このページの内容


 

1-1.育種と改良


 
育種 breeding とは,“品種の育成”という意味で,生物のもつ遺伝的形質を利用して改良し、有益な品種を育成することをいう。

すなわち,有用な動植物の遺伝的な形質を改良して人類に対して一層貢献させることが目標であり,新しい種の造成ばかりではなく,現存する種,品種の遺伝的素質の向上も含んでいる。


 
改良 improvement とは,さらに広く遺伝的素質の向上ばかりでなく環境条件の改善による生産性の向上をも含む広い意味で用いることが多い。

環境条件の改善とは,飼養管理などの諸条件に万全を期して,十分に遺伝的な性能を発揮させることをいう。

 

1-2.育種学

育種とは動植物の遺伝的素質を向上させることであるから,その基礎となるのは遺伝学 genetics である。

育種技術の向上を研究する分野を育種学というが,一種の応用科学であり,利用される学問分野は遺伝学を中心とした生物学全般,生化学,統計学など広い範囲に及ぶ。

 

1-3.家畜育種と植物育種の違い

  1. 家畜育種は植物育種に比べ取り扱いうる個体数が極端に少ない。
  2. 家畜における経済形質には,泌乳,産卵のような雌にのみ限定する形質が多い。
  3. 植物育種では,純系(ホモ性の高い系統)の次代を容易に作り出せるが,家畜では極めて困難である。
  4. 植物分野では育種とは新品種の育成を指すが,家畜では既存品種を改良することに主眼が置かれている。


 

1-4.家畜育種の目標

各種家畜の用途により,その育種目標も当然異なってくるが,基本的な育種目標は以下のとおりであろう。

 

  1. 奇形などの遺伝的な欠陥がないこと
  2. 強健で温和であること
  3. 繁殖能力が高いこと
  4. 成長が速く,飼料効率が高いこと
  5. 生産物の質が優れていること
  6. 群内の経済的な能力がそろっていること


 

1-5.遺伝的変異の考え方

質的と考えられる形質,すなわち毛色,角の有無,血液型などのいわゆる質的形質に対し,産乳量,産卵数,肉質,体重,身長,血圧などは表現型値が連続性を示すことから量的形質と呼ばれ,これらの発現には多くの遺伝子が関与していると考えられている。

質的形質は,主働遺伝子により支配されている。これに対し,量的形質は多数の微働遺伝子と環境要因によって支配されている。

 

形質と変異
 


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February 03, 2020

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