Extraembryonic_Membranes.html

胚体外膜 Extraembryonic Membranes

爬虫類,鳥類ならびにほ乳類は 4 種類の 胚体外膜 extraembryonic membranes をもつ。 すなわち,

  • 羊膜 amnion
  • 卵黄嚢 yolk sac
  • 絨毛膜 chorion
  • 尿膜 allantois である。

鳥類とほとんどの爬虫類では,胚体外膜をもつ胚は殻付き卵の中で発生する。

  • 羊膜 amnion は 羊水 amniotic fluid によって満たされ,胎児を保護している。
  • 卵黄嚢 yolk sac は卵黄( ふ化までの栄養源 )を含む。卵黄はタンパク質とリポタンパク質の混合物である。
  • 絨毛膜 chorion は卵殻の内面に沿って形成され( ガスが通過できる ),胚と外の空気との間で O2 と CO2 交換を行う。
  • 尿膜 allantois は胚の代謝老廃物( 主に尿酸 )を蓄積する。胚が大きく成長した場合には,ガス交換の役割も果たす。

これらの4種類の膜内で,発育中の胚は卵殻内でも必要な代謝を行うことができる。羊水に囲まれているので,胚は池の魚のように常に潤った状態が維持されている。

ほとんどの哺乳動物は卵殻をもたないが,これらの胚も羊膜に包まれている。このため,爬虫類,鳥類ならびにほ乳類を集合的に 羊膜類 amniota と呼んでいる。

哺乳動物では羊膜の利用のされ方が異なる 3 つのグループに分類できる。

  • 単孔類 Monotremes
    この原始的なほ乳類は,その先祖の爬虫類と同様に卵殻をもつ。今日, 3 種が存在するだけである。すなわち, 2 種のハリモグラ spiny anteater とカモノハシ duckbill platypus である。[写真はこちら (48K)]
  • 有袋類 Marsupials
    有袋動物は卵殻をもたない。卵には卵黄が乏しく,母親の生殖道内に一定時間留まる。 胚は 子宮 uterus の壁に侵入する。卵黄嚢によって母親の血流と原始的な結合が確立される。胚はそれを介して,栄養,酸素,ならびに他の必要な物質を獲得する。しかし,子宮組織と胚体外膜間の接合部分はそれ以上発達することなく,胎子は非常に幼弱な状態で生まれる。写真は 18 匹のオポッサム opossum ( フクロネズミ )の新生子である。ティースプーンにちょうど乗る大きさである。その小ささにもかかわらず,母親の腹袋に這って進み,乳頭に吸い付き,ミルクを飲むことができる。有袋類はオーストラリアにまだ豊富に見られるが,オポッサムだけは北米に見られる。
  • 有胎盤哺乳類
    有胎盤哺乳類では,胚体外膜から 胎盤 placenta と 臍帯 umbilical cord が形成される。これによって,胚と母体の子宮がより精巧,かつ効果的な方法で連絡する。発育中の胎子と胎盤へ血液が絶え間なく供給される。胎盤は子宮から栄養素と酸素を受けとり,二酸化炭素や他の老廃物(尿素など)が母親に移行し,排泄される。

ヒトは有胎盤哺乳類である。

妊娠についてはこちら

最初に戻る

メニューのページへ戻る

February 06, 2020

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です