減数分裂における乗り換えと遺伝子組み換え
2 本の非姉妹染色体の相同部分間で乗り換えが起こる。
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各染色分体は単一の DNA 分子を含む。したがって,乗り換えとは隣接する DNA 分子の交換が起こる現象である。
そして,非常に正確に進行するので,染色分体におけるいかなる遺伝子の増減もない。実際,遺伝子内で乗り換えが起こる時は, 1 塩基の間違いもなく正確に乗り換えが起こらないといけない。
さもなければ,フレームシフト frameshift 突然変異となり,遺伝子産物に問題があったり,たいていの場合全く機能しないことになる。
どのようにして非姉妹染色分体が 1 個の塩基の間違いもなく乗り換えを完了できるのだろうか?
1 つのありそうな機序としては,以下のようなことが想定されている。
それぞれの組み換え DNA 分子は,元の分子がもう一方のヌクレオチドと対になるヌクレオチド部分を含むことに注意して欲しい。
塩基の増減もなく交換が起こるには,二重らせん構造が機能している。各 DNA 鎖のヌクレオチドの合計数と相補性 ( A – T, C – G ) が保存されている限り,このヘテロ二本鎖 “heteroduplex” 部分 ( 数百の塩基対が並ぶ ) はおおよそ遺伝的な影響を及ぼすことはないだろう。
そして,他の染色分体をテンプレートにして短く伸びた DNA の合成が起こるので,入り込んできた DNA 鎖に存在する損傷を修復する機構をもつことになる。
もし分子 1 の分離が突然変異部分で起こると,損傷のある ( または間違いのある ) ヌクレオチドは酵素が消化してしまう。このギャップを埋めるために,損傷のない分子 2 がテンプレートとして利用され,分子 1 の損傷を修復してしまう。
切断した元の部分でお互いに連結することがよく起こる。この場合,乗り換えはなにも起こらない。ヘテロ二本鎖の部分で何らかの遺伝的な情報の交換が起こった時に,遺伝的な変化が生じる。
したがって,乗り換えは減数分裂における遺伝的な組み換えの手段だけではなく,ゲノムの損傷を修復する手段でもある。
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February 05, 2020