前核生物における転写と翻訳
DNA鎖を鋳型としてメッセンジャー RNA ( mRNA )が合成されるプロセスを転写(transcription) といい,mRNAを鋳型としてタンパク質がつくられる段階を翻訳(translation)という。
〔写真の説明〕
上から下に見られる長い繊維 ( 緑矢印 ) は大腸菌のDNAの一部である。
翻訳が開始されてリボソームが移動すると、別のリボソームが開始位置に結合し、多数のリボソームが メッセンジャー RNA ( mRNA )上に数珠つなぎになって翻訳を行う。
この構造をポリソーム polysome ( 赤矢印 ,ポリリボソームともいう) と呼び,その長さは上から下へ行くほど長くなっている。
各ポリソームは RNA ポリメラーゼ 分子を含むタンパク質複合体によって DNA 鎖に付着する 。 すなわち,
- RNA ポリメラーゼ 分子が上から下に移動することによって,DNA が 転写 される。
- そして,リボソームが近位部から遠位部方向に移動しすることによって,伸張している mRNA 分子が翻訳される。
大腸菌を含むおそらくすべての前核生物において, DNA の mRNA への 転写 transcription と mRNA のポリペプチドへの 翻訳 translation ( この図では見ることはできない )はほぼ同時に,かつ同じ場所で綿密に調整されて起こる。
これに対して,真核生物ではすべての転写は核で起こるが,ほとんどの( すべてではない )翻訳は後になって細胞質で行われる。
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March 05, 2020