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細胞膜

細胞の生きている原形質の最も外側に形づくられた厚さ 8 – 10 nm の境界膜で,原形質膜または形質膜 plasma membrane ともいう。

細胞膜は 脂質 lipid と タンパク質 protein から成る。

さらに,すべての 真核細胞 は細胞内の 膜の合成系 をもっており,いろいろな細胞内の膜構造が形成されている。

膜の合成系

細胞膜を含めて細胞内の膜構造は,互いに離合集散を繰り返すダイナミックな状態にあり,とくに核膜-粗面小胞体,滑面小胞体-ゴルジ体,ゴルジ体-細胞膜などの間の移行は,全体として 膜流動 membrane flow と呼ばれる。

細胞膜の生成は,粗面小胞体でリン脂質と膜内在性タンパク質が合成され,膜流動にしたがって,ゴルジ体の膜系を通って細胞膜に新たに加わる。

細胞膜

細胞膜は,細胞内部の小器官と外部環境との境界膜として機能する。

細胞膜の脂質は主にリン脂質 phospholipid である。リン脂質は 両親媒性 amphiphilic の分子で,疎水性の分子の炭水化物鎖と親水性の極性頭部をもつ。 細胞膜のリン脂質は疎水性炭水化物鎖が背中合せ 2 層の 脂質二重層 を形成して,その両側の溶液に接している。


 

膜内在性蛋白

細胞膜に関連するタンパク質が脂質部分に組み込まれている。

  • あるものは二重層の脂質に結合している。
  • 他のものは – 膜貫通型タンパク質 – ポリペプチド鎖は実際に脂質二重層を横断する。右図には,二重層を 1 回だけ通過した膜貫通型タンパク質と 7 回貫通した別のタンパク質を示している。すべての G-蛋白質結合受容体 ( たとえば,ペプチドホルモンや嗅覚の受容体 )は各々細胞膜を 7 回貫通している。

これらのすべての場合に,脂質二重層の内の部分は主に疎水性のアミノ酸から成る。 これらは通常アルファ・ヘリックス配列しており,ペプチド結合部の C = O 基および NH 基が,それらの疎水性の環境とよりは相互作用できるようになっている。

二重層から外に突き出たポリペプチドの部分は,親水性のアミノ酸の場合が多い。さらに,細胞の水性環境へ突き出るポリペプチドはたいてい糖タンパク質である。これらは細胞の表面に露出したポリペプチドの部分に結合して多くの疎水性の糖鎖をもつ。

二重層を数回貫通しているタンパク質の中には,細胞の内外に移動する特定のイオンや分子が通過できる親水性のチャンネルを形成する。

 

膜周辺蛋白質

これらは比較的緩やかな状態で膜に結合している。たいてい膜内在性タンパク質の突出領域に非共有結合している。

膜タンパク質はしばしば移動が制限される

細胞膜は基本的には液相であり,脂質二重層はフィルム状の油のようなものである。それに埋没している膜タンパク質は移動し拡散できる。しかし,ある膜タンパク質は移動が制限されている:

  • 細胞膜の内側 ( 細胞質側 ) に露出したタンパク質の中にはアクチンから成る マイクロフィラメント のような細胞骨格で拘束されているものがある。
  • 細胞膜の外面にあるタンパク質は コラーゲン のような細胞外基質の成分に固定されているものがある。
  • 膜内在性タンパク質はある種の細胞間 ( たとえば,上皮細胞 ) にみられる 密着結合 tight junction を通過できない。

細胞の分化と細胞膜

細胞膜は細胞の分化とともにその構造と機能が分化し,また領域によって形状の異なる特殊な構造部分が発達する。神経細胞のシナプス部分,各種細胞間の結合部分に発達する デスモソーム desmosome や ギャップ結合,腸上皮細胞の微細絨毛などは容易に観察できる細胞膜部分である。

分化した細胞の細胞膜は,膜成分であるリン脂質組成,膜内在タンパク質の種類とその分布,膜外表面に結合する糖鎖の種類とその分布などが機能分化に応じて異なっている。したがって,表面抗原性も特異になる。


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February 04, 2020

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