Restriction_Enzymes.html

制限酵素


制限酵素は,細菌で発見された DNA を切断する酵素 である。DNA 分子内で切断するので,それらはしばしば 制限エンドヌクレアーゼ endonucleases とも呼ばれる。

制限酵素は特定のヌクレオチド配列でのみ DNA を認識し切断する。例えば,細菌 Hemophilus aegypticus は,それが以下の塩基配列で DNA を切断する HaeIII と命名された酵素を生産する。

5’GGCC3′
3’CCGG5′

切断は G と C との間で起こる。この特別の塩基配列はウイルス phiX-174  の環状 DNA 分子に 11 ヵ所みられる。この DNA を HaeIII で処理すると,11 個の DNA 断片が生じ,それぞれが常に同じ長さのヌクレオチド配列をもつ。これらの断片はそれぞれ分離して,塩基配列を決定することができる。

DNA 塩基配列決定についてはこちら

 

HaeIII と AluI は,二重らせんを真っ直ぐに切断して,平滑断端 をつくる。しかし,多くの制限酵素による切断端は塩基の 1 部が分かれ,一方の一本鎖 DNA が突出した部分をもつ。この部分は,突出部分の塩基と相補的な配列を含む DNA 分子と 塩基対合 を形成するので 付着端 と呼ばれる。同じ制限酵素で処理された他の DNA も同じ分子構造の付着端をもつ。

これらが混合されると,その分子はお互いの付着端で塩基が対合しつながる。その部分は別の酵素,すなわち DNA リガーゼ によって共有結合され,DNA 二本鎖となる。 この方法で, 組み換え DNA ( rDNA ) ができたことになる。

組み換え DNA 分子を作製することが可能となり,遺伝学に関する研究に大きな変革をもたらしたと共に,多くのバイオテクノロジー産業の創設の基礎を築いた。ヒトの インシュリン ( 糖尿病患者のため ) やヒト 血液凝固第 VIII 因子 ( A 型血友病を持った男性のため ) ,ならびにヒトの治療に使われるその他のタンパク質の利用がすべて組み換え DNA 技術によって可能になった。

組み換え DNA 技術についてはこちら

 


最初に戻る

メニューのページへ戻る

February 07, 2020

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です