Mutation_Testing.html

化学的突然変異誘発要因試験


サルモネラ菌の 1 種 Salmonella typhimurium, これは エームス試験 Ames test に用いられる細菌でもある。 原核生物 なので,ヒトの体に対する影響を知る完全なモデルではない。実際,ヒトに対して発ガン物質と疑われている物質がエームス試験で陰性のことがある。

真核生物に適応できる,エームス試験をモデルとした体外検査法が検討されている。たとえば,

  • 酵母,ならびに
  • 体外培養で発育中の哺乳動物細胞への適応が検討されている。

しかし,エームス試験のような迅速さとすべての動物に適応できるより現実的な条件とを兼ね備えた方法が望まれる。

組み換え DNA 技術のおかげで, ( また,バイオ企業 Stratagene の努力のおかげで ), 今そのような試験が可能となりつつある。

試験に用いられる動物は トランスジェニック・マウス ( 遺伝子組み換えマウス ) transgenic mouse であり,上記の企業は “Big Blue” と呼んでいる。

遺伝子組み換えマウスの作出法についてはこちら

Big Blue マウスは,以下の DNA 分子が導入されている:

  • バクテリオファージ・ラムダ ( 大腸菌に感染するウイルス ) の DNA , これが以下の遺伝子の ベクター として用いられる。
  • 大腸菌の 乳糖オペロン lac operon 由来の 3 つの遺伝的要素,すなわち,
    • lacI 遺伝子 ( lac リプレッサー をコード化している )
    • オペロンの オペレーター
    • ベータ-ガラクトシダーゼ ( lac Z ) 遺伝子

検定法

遺伝子組み換えマウスは,1 – 2 週間の間疑われる発癌物質を繰り返し投与される。化学薬品が突然変異原性であれば,各マウス細胞のゲノムに任意の突然変異を引き起こすだろう。突然変化が,以下のどちらかに生じる場合:

  • lacI 遺伝子 ( lac リプレッサー をコード化している ) または,
  • オペレーター,

その場合は,ベータ・ガラクトシダーゼの遺伝子 ( Z ) が 抑制されなくなる だろう。 これを試験するために,

  • 処理したマウスの組織から DNA を抽出する。
  • べくたーとして,バクテリオファージを用いる。
  • 大腸菌をバクテリオファージと混合し,培地に播種する。
  • バクテリオファージが感染し大腸菌を溶解する。
  • これはきれいに円形となり,容菌斑を呼ばれる。
  • 大腸菌が死滅する前に,突然変異した lacI 遺伝子または オペレーター をもっていた大腸菌はベータ・ガラクトシダーゼを生産する。
  • これが,培地中の基質と反応し,青色に変化する。
  • 突然変異が起こっていない遺伝子をもつバクテリオファージは,ベータ・ガラクトシダーゼを合成しないために無色の容菌斑を形成する。
  • 両方の容菌斑を数える。
  • 青色容菌斑を全容菌斑数で割って, 変異頻度 を求める。

右のグラフは,既知の突然変異原 ( ならびに発ガン物質 ) であるベンゾピレンを投与された遺伝子組み換えマウスの脾臓細胞で行われた試験結果を示す。

その最後の投与の 3 日後に,合計 2,647,040 個の容菌斑のうち 46 個の青色容菌斑が脾臓サンプルから得られた。

これから,1.7 × 10-5 ( 100,000 のうち 1.7 ) の変異頻度を示し,対照区に対して有意の増加を示した。

この写真は多くの無色の容菌斑の中に 1 個の青色容菌斑を示す。

 


 

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February 07, 2020

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