培養中の細胞
正常な培養もガン細胞も体外で培養することができる。しかし,両者の様子は大分異なる。
正常 な細胞は細胞分裂できる回数が決まっており ( 約 50 回程度 ) ,その後は分裂できなくなり死滅してしまう。これはおそらく テロメラーゼ の合成能がないためと考えられる。
ガン 細胞は不死細胞のようである。それらは無限に増殖してしまう。例:HeLa 細胞 は世界中の研究室で培養されている。これらの細胞は 1 人の女性の子宮頸ガンから取り出した細胞の後継細胞である。彼女は既に 50 年以上も前になくなっている。培養中のガン細胞は テロメラーゼ を合成している。
正常 細胞は培養ディッシュに移すと,ディッシュの底面が細胞の単層 ( お互いに接触しあっている ) によって被われるまで増殖する。そして,有糸分裂を停止する。この現象を コンタクトインヒビション “接触阻止現象” という。
ガン 細胞は接触阻止現象を示さない。ディッシュの底面が被われても,細胞は分裂を継続して盛り上がりを形成しくる。
右の写真は,培養中のマウス繊維芽細胞 ( 結合組織細胞 ) を示す。上段の写真は接触阻止を示す。下段は分裂が停止していない。下の細胞は形質転換させたものである。これらの細胞 ( 3T3 細胞 ) はガンのマウスから採取したのではない。あるウイルスによって細胞を形質転換させたものである。
正常 細胞は組織培養液に添加する栄養素のコントロールが難しい。
ガン 細胞 ( ならびに形質転換細胞 ) は比較的簡単な組成の培養液でもたいてい発育する。
正常 細胞はその種に特異的な数の染色体セットをもつ。すなわち正常な 核型 をもつ。
ガン 細胞はほとんどの場合異常な核型を示す。その例を以下に示す。
- 染色体数の異常: ( 多倍体 polyploid または 異数性 aneuploid )
- 染色体の構造的異常:
- 転座 translocation
- 欠失 deletion
- 重複 duplication
- 逆位 inversion
最初に戻る |
メニューのページへ戻る |
February 05, 2020