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ダイオキシン


代表的なものは,2,3,7,8-四塩化ダイオキシン ( 2,3,7,8-tetrachlorodibenzo dioxine,TCDD ) であるが,このほかにも,毒性の強い一群の類似物質が知られている。これらは,まとめて ダイオキシン類 あるいは ダイオキシン関連物質 と呼ばれる。

このようなダイオキシン類には,ポリ塩化ジベンゾ‐パラ‐ジオキシン ( PCDD ),ポリ塩化ジベンゾフラン ( PCDF ),コプラナー PCB が知られている。TCDD は PCDD の一つである。

ダイオキシン類のうち,最も毒性が強いのが TCDD である。

実験動物に摂取または投与した場合に,ダイオキシンは著しい毒性を示す。致死下の濃度では,ガンや先天性欠損症を起こす。

高濃度のダイオキシンに暴露されると,ヒトでは,肝臓や中枢神経系への害ばかりでなく,重度の皮膚病も起こる。しかし,その作用メカニズムには不明な点が多い。

まだ議論のあるところであるが,米国環境保護局 ( EPA ) は,ダイオキシンがヒトにおけるガンの原因となることを認めている ( 2000 年 6 月) 。 この結論は以下の研究成果に基づいている:

  • ラットで行われた用量反応に関する研究から,ヒトへの影響が推定されている。
  • 米国,ドイツならびにオランダでダイオキシンに暴露された産業労働者の健康状態の調査に基づいている。

ダイオキシン類の毒性が問題になった事件にはベトナム戦争時の枯葉作戦があり,アメリカ軍が散布した枯草剤 ( 枯葉剤 ) の中にダイオキシン類が混入していたために,ベトナム人およびアメリカ軍兵士に被害が現れた。また 1976 年イタリアのセベソで化学工場の爆発が起こり,生成したダイオキシンが周辺都市部に降り注ぎ,住民に健康被害が出た。

精密分析技術の開発のおかげで,今,血中の微量のダイオキシン検出が可能である。ほとんどの人は血清中に 2-3 ppt ( parts per trillion ) の TCDD が検出されるという。

1980年代以降は,世界各国で,ごみ焼却に伴う ダイオキシン類の発生と環境汚染 が問題になってきている。有機物と無機物に由来する塩素,炭素源,そして酸素があればダイオキシン類が生成すると考えられている。

現在,日本の各地のごみ焼却場では,燃焼温度を 850℃ 以上にする,不完全燃焼を少なくする,集塵器に入る排ガスの温度を低温化する,などの対策がとられつつある。

しかし,これまでにごみ焼却場から環境に放出されたダイオキシン類がかなりあり,ダイオキシン類は環境を広く汚染していて,その結果,広範な食品汚染,人体汚染などが見られている。なお,97 年 12 月から大気汚染防止法にもとづく排出規制が行われるようになった

ダイオキシンの作用機序 についてはこちら
化学合成物とヒトの生殖についてはこちら

 


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February 05, 2020

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