pH
pH は水溶液中の 水素イオン ( = H+ ) ( = プロトン ) の濃度の測定値である。
pH の数字は,モル濃度 mol/l ( M ) で表わした水素イオン濃度の対数に負号をつけたものである。
純水はイオンに解離し, 10-7 M の H+ ( と OH– ) 溶液となる。この対数に負号をつけると 7 ,すなわち純水の pH は 7 となる。
純水よりも H+ 濃度が高い溶液 ( [H+] > 10-7 ) は, 7 より小さい pH 値をとり,酸性 である。を示し,小さな数値のほうがより酸性が強いことを意味する。
純水よりも H+ 濃度が低い溶液 ( [H+] < 10-7 ) は, 7 以上の pH 値をとり,塩基性 または アルカリ性 である。
pH の重要性
ほとんどのタンパク質,たとえば酵素の性質は pH に敏感である。
pH が低下すると,,
- H+ が アスパラギン酸 ( Asp ) と グルタミン酸 ( Glu ) のカルボキシル基 (COO–) に結合し,それらの負の荷電を中和する。
- H+ が リジン ( Lys ) と アルギニン ( Arg ) のアミノ基 ( NH2 ) の窒素原子の ( 占有されていない ) 電子に結合し,それらに正の荷電を与える。
その結果: その分子上の正味の荷電を変化させるだけでなく ( 正の荷電が増える) ,その R 基が他の分子やイオンとの(イオン性または電気的に)相互作用に影響を与えてしまう。
pH が上昇すると,,
- Asp と Glu の COOH 基からH+ が除去され,それらに負の荷電 ( COO– ) を与える。
- Lys と Arg の NH3+ 基から H+ が除去され,正の荷電が除去される。
その結果: やはりその分子上の正味の荷電を変化させる ( 負の荷電が増える ) 。また,その R 基が他の分子やイオンとの相互作用に影響を与えてしまう。
電気泳動による血清タンパク質の分離における pH の重要性についてはこちら |
ヒト細胞の細胞質 pH は約 7.4 である。しかし,この値は細胞内の種々の小器官内の pH とは異なることに注意して欲しい。たとえば,
- リソゾーム の内腔は細胞質に比べ非常に酸性が強い ( pH 4 程度 ) 。これは,内部の酵素がこの低 pH でよく作用するからである。
- 太陽のエネルギーによって 葉緑体 内に生じた pH 差によって,ATP が合成される。
- 細胞呼吸中に ミトコンドリア 内につくられた pH 差が ATP を合成するのに利用される。ATP は細胞成分の移動や生合成のような細胞のエネルギーを必要とする活動に必要である ( 詳細についてはこちら ) 。
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February 07, 2020