20200824

「完全菜食」向け 続々 大豆肉バーガーや化粧品


2020.08.24

「ビーガン」と呼ばれる完全菜食主義者向けの食品や化粧品などが続々と登場している。動物性由来の原料や素材を使わなくても、味わいや機能・効能面で遜色ないものも多い。

■環境に関心

ベジタリアン(菜食主義者)は、一般的に肉や魚を食べないとされる。それに加えて卵や乳製品、ハチミツなど一切の動物性食品を摂取しない人たちがビーガンに当たる。

NPO法人「ベジプロジェクトジャパン」の川野陽子代表によると、ビーガンは、動物実験を経て開発された化粧品や毛皮などの衣類も可能な限り排除したいと考える傾向がある。畜産業が温室効果ガスを多く排出することから、環境問題への関心も強いという。

ビーガンに対応した商品の認証を行う同法人には、企業からの問い合わせが急増しており、2019年は前年の4倍となった。川野代表は「環境への関心が高い欧米ではビーガン食を取り入れる習慣が広がっている」と話す。

■味にこだわり

卵や乳製品を使わないという点で、卵や乳のアレルギーのある人でも食べやすいはずだ。

その一例が、山崎製パンが発売している大豆ミートを使った「ベジバーガー」と菓子パン「ヴィーガンロール」。バーガーは特製マヨネーズタイプのドレッシングで味付けし、ロールパンはアーモンドミルクなどでしっとりさせた。同社は「見た目や味の面で、普通のパンとの違いはほとんど分からない」と説明する。

ヤマダイのカップ麺「ヴィーガンヌードル」は、専門レストランが監修して開発した。ノンフライ麺を採用し、カロリーは216〜240キロ・カロリーと低めに抑えられ、健康を意識する人にもおすすめとしている。

■肌に優しく

化粧品や日用品でも対応商品は増えている。

美容関連の商品を手がける「アイエヌイー」の調査によると、世界の化粧品や生活用品などにおけるビーガン製品の割合は、19年は前年比1・5倍に高まった。国内でも商品の選択基準としてビーガンという観点が重要になるとみて、同社は「ボタニスト ヴィーガンシャンプー・トリートメント」を発売している。

この製品では、毛髪のハリやコシを高めるために使用する羊毛由来の加水分解ケラチンなど、動物由来の原料は含まれていない。代わりにエンドウ豆由来の成分などを配合した。バイオマス容器を採用して、環境への優しさもアピールしている。

レイスの「精進コスメ」は、アイシャドーやリップグロスなど5種類がそろう。イスラム教の戒律に対応したハラルの認証も取得し、香料などを使わずに肌への負担を抑えるなど、たくさんの人に使ってもらえる商品を目指している。

図=ビーガン向けの主な商品

《読売新聞 2020/08/24 より引用》