20210207

人工物の重さ 生物超えか イスラエル研究チーム


2021.01.07

地球にある建物や道路など人工物の総重量は2020年に1・1兆トンに達し、生物の総重量を上回った可能性があるとする推計結果をイスラエル・ワイツマン科学研究所のチームがまとめ、英科学誌ネイチャーで発表した。

研究チームは、世界の人工物の重量を原材料の流通状況から推定し、廃棄物を除いて集計した。生物の重量は動植物の生息分布などのデータベースと、衛星の観測データを組み合わせたモデルを作り、森林や農畜産物、人間、微生物などを推計した。人工物はコンクリートや砂利、金属などを使った構造物、生物は樹木が重量の大半を占めた。

論文によると、人工物の総重量は20世紀初めに生物の総重量の3%だったが、20年ごとにほぼ倍増し、2020年に生物の総重量とほぼ等しい1・1兆トンを超えた。人工物は現在年間300億トン増えており、2040年頃には2兆トンを超え、生物の2倍になるという。チームは論文で、人類の活動が環境に与える負荷を強調し、「責任を自覚すべきだ」と訴えている。

国立環境研究所の南斉規介(なんさい・けいすけ)・国際資源循環研究室長の話「人工物が総重量で生物を上回ったのは、歴史上の一つの転換点といえる。今の大量消費社会が持続可能かどうか、よく考える契機となる」

《読売新聞 2021/01/07 より引用》