米産牛肉に輸入制限 あす発動 関税38.5%へ上げ
2021.03.17
政府は17日、米国産牛肉に対する緊急輸入制限(セーフガード)を18日に発動すると発表した。2020年度の累計輸入量が、日米貿易協定に基づく発動基準の24万2000トンを超えたため、同日から30日間、関税を25・8%から38・5%に引き上げる。
米国産牛肉へのセーフガード発動は17年8月以来、3年7か月ぶり。20年1月に日米貿易協定が発効した後では初めてとなる。日米両国は発動から10日以内に、発動基準の見直しについて協議を始める。
財務省の17日の発表によると、20年4月〜21年3月上旬の米国産牛肉の輸入量は、前年同期比3%増の24万2229トンだった。米国と並ぶ輸入先の豪州が干ばつの影響で生産量を減らしたことに伴い、米国産の輸入が増えた。
今回の関税引き上げが、店頭での価格に反映される可能性もある。ただ、農林水産省は「前回(17年8月)と比べると、影響は相対的に少ないのではないか」(食肉鶏卵課)とみている。
前回は米国やカナダ産などの冷凍牛肉の関税が38・5%から50%に引き上げられたが、発動が8月だったため、期間は年度末までの8か月間にわたった。今回は発動が3月のため期間は30日間と短く、業者も計画的に輸入して一定の在庫を確保しているとみられる。
セーフガードは、国内の畜産業を保護するため、輸入量が基準を上回ると関税を引き上げる仕組み。米国産は、輸入牛肉の約4割を占めている。冷蔵牛肉は量販店や焼き肉店、冷凍牛肉は牛丼などの外食や加工用を中心に提供されている。

図=米国産牛肉の累計輸入量がセーフガード発動基準に達した
《読売新聞 2021/03/17 より引用》