20211006

牛に「ゼブラ柄」アブ防ぐ 小国 ストレス軽減へ実証実験=山形


2021.10.06

牛にアブやサシバエなど吸血昆虫が寄りつくのを防ぎ、牛のストレス軽減につなげようと、シマウマのようにゼブラ柄に塗装して効果を検証する実証実験が、小国町大宮の遠藤畜産で行われている。

写真=行動観察のため、畜舎パドックにつながれたゼブラ柄の牛(手前)(1日、小国町大宮で)
写真=行動観察のため、畜舎パドックにつながれたゼブラ柄の牛(手前)(1日、小国町大宮で)

牛をゼブラ柄にすると吸血昆虫の被害が減り、家畜福祉の向上に役立つ。そんな研究成果を愛知県農業総合試験場が2019年、発表した。これを受けて県置賜総合支庁が今年度、独自に取り組むことにした事業で、予算額は塗装材料費など20万円。

遠藤畜産では、飼育する牛6頭をゼブラ柄と自然なままに半数ずつ分け、畜舎パドックにつないで、アブが近寄ってきた際の行動を観察する。具体的には、牛が〈1〉頭を振る〈2〉耳を動かす〈3〉足踏み〈4〉尾を振る——という行動について、1日に2回15分ずつ、目視でカウントして合計する。

牛の行動観察は8月から始まっており、10月下旬まで計5回分を記録する。1日には、報道関係者や置賜地域の飼育農家らに公開された。

愛知県では、長久手市の試験場で牛3頭を白シマ、黒シマ、シマなしに分け、サシバエの付着状況について調査した。白シマはサシバエの数が半減し、牛の忌避行動が25%減ったとの結果をまとめている。

小国町では、アブの数はカウント不能だったが、忌避行動が実測できた2回の結果をみると、ゼブラ柄の牛は未塗装の牛と比べ、4〜8割程度回数が減少した。

同畜産の遠藤寛寿さん(35)は「思った以上に効果があるようだ。塗装は1週間ほどでとれてしまうのが課題」と話した。

飼育農家からは「塗装した牛は、仲間から攻撃されたりする心配はないか」「塗装が虐待とみられないか」との問題提起もあった。

《読売新聞 2021/10/06 より引用》