鳥インフル 対策急ぐ 1か月で8県 埋却地や資材確保
2021.12.15
◆46万8000羽を殺処分

高病原性鳥インフルエンザが各地で猛威をふるい始めている。この1か月間で感染が確認された養鶏場は8県9か所、殺処分数は46万8000羽に上る。昨季は18県52か所に広がり、過去最多の約987万羽が殺処分された。自治体は発生に備え、埋却地や資材の確保などを急いでいる。
11月10日に感染が確認された秋田県横手市では、養鶏場の約14万羽の埋却が予定されていた1週間より早い3日間で終わった。県の担当者は「10月に埋却作業の訓練を行っていたので、迅速に行えた」と話す。
農林水産省は今秋、大規模農場に対し、埋却地の確保や発生対応計画の策定などを求め、準備を促してきた。
横手市の養鶏場は周辺に埋却地を用意したが、住宅地に近いなどの理由で住民の理解が得られず、市有地に埋められた。県は養鶏場が確保した埋却地が使えない場合に備え、市町村に代替地を確保するよう要請した。
年末年始の休暇を前に、殺処分にあたる人員や、殺処分に使う炭酸ガスや防護服などの資材の不足も懸念されている。青森県では2016年末、資材不足のため、殺処分が遅れたことがある。
同県では今月12日に三戸町で感染が今季初めて確認された。中村裕之・農林水産副大臣は同日、三村申吾知事を訪れ、「人的、物的支援を惜しまない」と述べた。

また、12月は卵の需要が高まる。クリスマスケーキなどに使われるためだ。感染が確認されると、周辺農場も卵や鶏の搬出などが制限され、影響は大きい。
埼玉県では今月7日、美里町の養鶏場で感染が確認された。埼玉県畜産会の岩田信之専務理事は「感染が広まると、制限解除に時間がかかり、卵の供給量が少なくなる」と、流通への影響を懸念している。
《読売新聞 2021/12/15より引用》