稲わらから高濃度セシウム 南相馬の汚染牛のえさ
2011年07月11日15時1分
- 問題となった牛を出荷した畜産農家。牛がえさを食べていた =11日午前、福島県南相馬市、林敏行撮影
- 放射性セシウムが検出された牛を出荷した畜産農家でえさや水の管理状況などを調べる福島県職員ら=10日、福島県南相馬市、田村隆撮影
福島県南相馬市の畜産農家が出荷した牛11頭から基準を超す放射性セシウムが検出された問題で、同県がこの農家から提出を受けたえさなどを検査した結果、稲わらから高濃度の放射性セシウムが検出されたことが、関係者への取材でわかった。農家は県の聞き取りに、東京電力福島第一原発が爆発した際に屋外に置いていたわらを牛に与えていた、と説明したという。
県と農林水産省は、原発事故で汚染されたわらで内部被曝(ひばく)した可能性が高いと判断。農家は出荷時の県側の聞き取りには正しく申告していなかったとみられ、点検のあり方について改善できないか検討を進める。県と農水省は10日、農家を実地調査。えさの配合飼料と牧草、わら、井戸水を検査用のサンプルとして採取した。検査の結果、わらからかなり高濃度の放射性セシウムが検出された。
問題の牛11頭は7日に出荷された。これに先立ち、県は6月26日に牛の体表の放射線量検査(スクリーニング)を行い、全頭が数値ゼロでクリア。この際、えさの管理状況や牛の飼育状況の聞き取りをし、農家はわらについて「震災前に収穫したもの」と申告していた。しかし、10日の聞き取りには「爆発時に屋外にあったわらも与えていた」と話したという。
原発事故を受け、県は3月25日、飼料は事故前に刈り取って屋内に保管されたものを使うことなどを農家に指導していた。
この農家は「緊急時避難準備区域」にある。県は、同区域と「計画的避難区域」から牛などを出荷する際の取り扱いについて農水省に照会。同省は4月18日付で点検内容を県に提示した。(井上亮)
《朝日新聞社asahi.com 2011年07月11日より引用》