米仏チーム、ES細胞から卵子 マウスで成功
2003年05月02日
あらゆる臓器や組織に育つ能力を秘めた胚(はい)性幹細胞(ES細胞)から卵子を作るマウス実験に、米仏の研究チームが成功し、2日発行の米科学誌サイエンスに発表する。ES細胞から卵子ができたのは初めて。不妊治療などの基礎研究に役立つ一方で、人間への応用をめぐっては倫理的な議論を呼びそうだ。
米ペンシルベニア大などのチームは、マウスのオスとメスの胎児から複数のES細胞を作製した。その中から、卵子などの生殖細胞で特異的な働きをする遺伝子を目印にして細胞を選んだ。
試験管に入れて特殊な条件で培養したところ、卵子や精子など生殖細胞ができる時に起こる減数分裂が始まった。形や遺伝子の働きぶりから、卵子になる前の段階である卵母細胞に似た細胞に分化し、成長していることが確認された。
ES細胞の研究は再生医療に欠かせず、サルやマウスなどのものを様々な臓器や組織の細胞に育てる研究が進められている。生殖細胞では日本のチームが精子のもととなる細胞作りを研究している。
《朝日新聞社asahi.com 2003年05月02日より引用》