牛のセシウム、えさ・水原因か
2011年07月10日3時1分

体表検査は全頭クリア関連トピックス原子力発電所福島県南相馬市から出荷された肉牛に国の基準を超える放射性セシウムがみつかった問題で、9日に出荷停止の連絡を受けた同市内の畜産家・荒川周市さん(62)。「原発のせいで家族バラバラになって、田んぼもダメ。ベコもダメと言われたら、どうすればいいんだ。これ以上、いじめないでほしい」=9日午後、日吉健吾撮影
福島県南相馬市の畜産農家が出荷した牛11頭から国の基準を超える放射性セシウムが検出された問題で、出荷前に県が行った体表の放射線量検査(スクリーニング)を全頭がクリアしていたことが分かった。農林水産省と県は、えさや水に含まれていた放射性物質による内部被曝(ひばく)の可能性が高いとみて、飼育状況の調査を始めた。 11頭を出荷した農場は、福島第一原発の事故に伴う緊急時避難準備区域にある。同区域からの肉牛出荷の際には、全頭スクリーニングが義務づけられている。県によると、この11頭も6月26日に検査を受けたが、いずれも数値はゼロだった。一方、内部被曝の可能性については、県職員による飼育状況の聞き取り調査で判断している。この農場は畜舎で牛を飼育しており、えさは屋内管理、井戸水を使っていたとの記録が残っていたという。
農水省は「肉牛は配合飼料が中心で、牧草などは使わない。なぜここまで汚染されたのか原因究明が必要」としている。同省はこの農場に職員を派遣し、県とともに畜舎の状況やえさ、飲み水などを詳細に調べる方針だ。
福島県は南相馬市からの肉牛の出荷自粛を要請。厚生労働省は同県と隣接する宮城、山形、茨城、栃木、群馬、新潟の6県に、牛肉の検査強化を求めた。
11頭の基準値超過は都の検査で発覚。最も高い肉で1キロあたり3200ベクレルの放射性セシウムが検出された。
《朝日新聞社asahi.com 2011年07月10日より引用》