20110628

ブランド鶏偽装疑惑 認証管理徹底されず


2011年06月28日

県内の養鶏業者が県特産地鶏の「青森シャモロック」や秋田県特産地鶏の「比内地鶏」と偽って、一般的な鶏肉を出荷していた疑いがある問題で、青森、秋田の両県に戸惑いが広がっている。県がそれぞれ調査に乗り出す一方、生産者や取引業者からは「養鶏業者の良心を信じるしかない」との声も上がる。

■シャモロック-シールない販売も

「本当に残念。震災後の不景気で出荷も減っている時なのに」

シャモロックを生産できる指定農場からなる青森シャモロック生産者協会の母良田(ほ・ろ・た)昭会長は嘆く。「対策をもっと強化しなくては」と付け加えた。

シャモロックのブランド管理は、県と協会が担ってきた。出荷施設を18の指定農場に絞り、それ以外から売られたシャモロックは「偽物」となる仕組みを作った。加えて、出荷物には協会発行のシールを貼り「本物」をアピールした。

「ただ、買う人が知らなければ見抜けない。限界があった」と県の担当課長は語る。農場から直接レストランなどに売られるものには、シールが貼られないことも多かったという。「どちらかというと宣伝目的。シールがないと本物ではない、という仕組みにはできていなかった」と母良田会長は後悔する。

県は来月、協会の会合で対策の強化を提案。出荷物へのシール貼りや、買い手への周知を訴える予定だ。

■比内地鶏-青森県産は想定外

テンマ家禽(か・きん)農場が偽装していた疑いのある「比内地鶏」の産地、秋田県も「他県での偽装は想定していない」と戸惑いを隠さない。

同県畜産振興課によると、2007年6月に商標登録された比内地鶏は「比内地方で生産された」ことが条件とされる。県外業者が食肉処理・加工された比内地鶏を仕入れて販売はできるが、秋田以外で育った比内地鶏はそもそも存在しない。

07年10月に県内の鶏肉加工業者による偽装が発覚して以降は、認証制度の導入や抜き打ちのDNA検査を行い、県内業者の管理に努めてきた。だが「県外で偽装をされたら手の打ちようがない」と県幹部はいう。

テンマ家禽農場から比内地鶏として鶏肉を仕入れていた広島市内の飲食店経営者は「農場の近くに大きく『比内鶏』と書かれた看板があり、取引を決めた」と話す。比内地鶏の焼き鳥として10年ほど店の定番商品にしていたが、固い肉の納入が続き、今年1月に契約を打ち切ったという。同店経営者は「仕入れの度にいちいち、『本物ですか?』なんて聞けない」と漏らした。秋田県も、「精肉店やスーパーなどの小売りの現場までは監視が難しい」としている。(藤原慎一、長野剛)

 

《朝日新聞社asahi.com 2011年06月28日より引用》

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