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鳥インフル止まらない 宮崎・鹿児島に続き愛知でも陽性


2011年01月27日1時48分

>全国で鳥インフルエンザの感染が拡大している。宮崎、鹿児島の両県に続き、愛知県豊橋市でも26日、死んだ鶏の簡易検査で鳥インフルの陽性判定が出た。農林水産省は、3日間で約450羽の鶏が死んだ状況から、感染力の強い高病原性の可能性が高いとみている。

遺伝子検査でウイルスが高病原性と確認されれば、家畜の鶏への感染は昨年11月以降、全国で5例目となる。その場合、発生農場の鶏約15万羽はすべて殺処分される。

愛知県によると、豊橋市の採卵鶏農場から26日朝、「相当数の鶏が死んでいる」と県に通報があった。23日に死んだのは10羽だったが、24日は178羽、25日は120羽、26日は150羽以上が死んでいた。通報は、大量死が始まって3日目だった。

異常があったのは、窓がない密室性の強い「ウインドレス」型鶏舎。ベニヤの壁などで仕切っただけの「開放型」と違い、野鳥の侵入を防ぐネットを張りめぐらす必要がない。ただし、換気扇はあったという。農水省は専門家によるチームを現地に派遣し、感染経路を調べる。

通報があった農場の10キロ圏内には、約50戸の鶏やウズラなどの農家があり、計約400万羽が飼育されている。愛知県内では、2009年2月に豊橋市内のウズラ農家で高病原性のH7型の鳥インフルエンザウイルスが検出されるなどし、約160万羽が殺処分された。

今季はこれまでに、高病原性ウイルスが島根県安来(やすぎ)市、宮崎市、宮崎県新富町、鹿児島県出水(いずみ)市の3県4カ所の養鶏場で確認されている。農水省は愛知県を含め、距離的に離れていることなどから直接的な関連は薄く、同時多発的に発生しているとみている。

一方、22日に高病原性と判明した宮崎市の発生をめぐり、農水省は26日、移動制限区域(発生箇所から半径10キロ圏)内にある37養鶏場に関し、卵の出荷を27日から許可することを決めた。サンプル検査などでいずれも鳥インフル陰性が確認されたためで、卵の出荷は5日ぶりになる。鶏肉については引き続き出荷を禁じている。

1月22日以降、相次いで鳥インフルの感染が確認された宮崎、鹿児島、愛知の各県は全国有数の畜産県。農林水産省の2009年の統計によると、肉用鶏(ブロイラー)の飼育羽数で、1位の鹿児島県と2位の宮崎県で全国の35%を占める。採卵鶏でみると、愛知県は全国3位、鹿児島県は4位。農水省は「現時点では鶏肉や鶏卵の流通への影響は限定的」とするが、発生箇所の半径10キロにある全養鶏場で一時出荷が禁止されるため、供給への不安も出てきそうだ。

流通業界の対応は、いまのところ冷静だ。愛知県と静岡県に8店舗がある「クックマート」(愛知県豊橋市)の担当者は「店頭では問い合わせがあれば、加熱すれば安全と説明している。それでも気になるという方には、返品に応じる予定」と話す。

鶏肉や卵を食べて、人に感染した例はない。独立行政法人・動物衛生研究所(茨城県つくば市)はホームページに高病原性鳥インフルエンザに関するQ&Aを掲載し、適切に加熱すればウイルスは死滅する、と紹介している。

 

《朝日新聞社asahi.com 2011年01月27日より引用》

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