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「なぜ宮崎ばかり」 再び鳥インフル、不安に波立つ農家


2011年01月23日23時30分

養鶏場などでの高病原性鳥インフルエンザの確認状況

養鶏場などでの高病原性鳥インフルエンザの確認状況

「もう二度とごめんやと思っとったのに」。23日、宮崎県内で2例目となる高病原性鳥インフルエンザの発生に、新富町の養鶏農家は落胆し、声を震わせた。同町では2007年に続き2回目。「なぜ宮崎ばかり」「口蹄疫(こうていえき)みたいに広がるのでは」。防疫態勢が強化される中での続発は、牛や豚など約29万頭が殺処分された昨年の口蹄疫被害を想起させる。

 鶏20羽の死骸が見つかった養鶏場がある新富町の養鶏団地。入り口は消毒用の石灰がまかれて真っ白になり、立ち入りを規制する看板も立っていた。その奥から、無数の鶏の鳴き声や動き回る音が聞こえた。飼育数計約41万羽は「県内でも有数の規模」(県内の養鶏関係者)だという。「もう二度とごめんやと思っとったのに、来てしまった」。地元の採卵農家の男性は落胆をあらわにした。

4年前、男性の養鶏場は、鶏や卵を出荷できない移動制限区域に入った。毎日、鶏が産む数万個の卵を、長期保存のための段ボール箱に手作業で詰め替えたという。「1日がかりの作業やった。想像するだけでぞっとする。制限が解除されても、二束三文でしか引き取ってもらえない」

22日に設定された1例目の移動制限区域にはぎりぎりで入らなかった。だが、「1日だけのぬか喜びやった」。

防疫活動が本格化する中での発生に、宮崎市の採卵農家の男性は「口蹄疫みたいに広がるんじゃないか」と不安だ。「農家はどこも、やれることは全部やっている。隣の鹿児島県ではツルが鳥インフルにかかっても、養鶏場には出ていない。なぜいつも宮崎なのか。県は養鶏場に出入りする運送業者や飼料業者への指導を強化して欲しい」

 

感染ルートの把握に、県は困惑の色を深める。20羽の死骸は鶏舎内の中央に集中していた。この鶏舎では鶏をケージで飼養し、鶏が自由に動き回ることはできない。さらに鶏舎は屋根付きで、壁側は防鳥ネットで仕切られている。昨年12月の検査ではネットに破損などはなく、22日の目視検査でも鶏の異常は確認されなかったという。

23日、記者会見した河野俊嗣知事は「どこから(ウイルスが)入ってきたか、首をかしげざるを得ない」と口調は重かった。その一方で、約4時間半で約1万羽の殺処分を終えた1例目の対応を挙げ、「この経験を生かし、2例目も迅速に対応したい」とも述べた。

 

《朝日新聞社asahi.com 2011年01月23日より引用》

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