理系や女子、際立つ苦境ぶり 10月時点の大学生内定率
2010年11月17日
- 大学生の地域別就職内定率
- 来春卒業予定の大学生の10月1日時点の就職内定率
文部科学省と厚生労働省は16日、来春卒業予定の大学生の10月1日時点の就職内定率を正式に発表した。理系や女子大生の苦境ぶりが際立っているほか、地域格差も鮮明になっている。
調査は全国の国公私立大62校を抽出し、就職希望者に対する内定者の割合を調べた。
大学生全体の内定率は57.6%(前年同期比4.9ポイント減)。「就職氷河期」と呼ばれる2000年前後でも60%台を維持していたが、調査を始めた1996年以降で最低となった。08年秋のリーマン・ショック後、この2年で12.3ポイント減という急落ぶりだ。
文系が57.4%(3.8ポイント減)、理系が58.3%(10.2ポイント減)で、いずれも過去最低。急落した理系の下落幅は過去最大で、製造業などの採用が落ち込んでいるほか、「企業は大学院生を優先して採用し、大学生の内定に遅れが出ているのではないか」(文科省)との見方もある。男子の59.5%(3.8ポイント減)、女子の55.3%(6.3ポイント減)も最低だ。女子は08年の70.1%から15ポイント近く下落し、男子よりも厳しい就職環境に追い込まれている。
地域別の内定率もすべて下落。九州、中部は内定率が5割ほどにとどまり、関東、近畿との差が広がっている。
景気の先行きは不透明なままで、企業は採用を絞り込む傾向を続けている。文科省は「少なくとも早い時期での採用に慎重になっているようだ」とみている。また、学生の大企業志向が強く、中小企業の採用枠が満たされていないというミスマッチのほか、企業が「内定切り」批判を恐れて早期の採用を抑えているとの指摘もある。
政府は今月22日、経済界、大学と3者で就職問題について話し合う場を設ける予定だ。企業側に採用枠を少しでも広げるよう求め、就活時期の早期化の是正や、卒業後少なくとも3年間は新卒枠で扱うことなどを議論する。
《朝日新聞社asahi.com 2010年11月17日より引用》