iPS細胞使わずに心筋細胞、慶応大助教らマウスで成功
2010年08月06日2時30分
三つの遺伝子を、様々な細胞や組織を束ねる役割を持つ線維芽細胞に入れるだけで、心臓の拍動を担っている心筋細胞を作ることに、家田真樹慶応大助教らがマウスで成功した。心臓病の治療に応用できれば、心筋細胞を体内で直接作れるため、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から心筋細胞を作るよりも時間を大幅に短くでき、細胞の移植手術も不要になると期待される。
iPS細胞から心筋細胞を作って、心筋梗塞(こうそく)や心臓病を治療しようという研究が進んでいる。しかし、患者の細胞からiPS細胞を作り、心筋細胞にするまでに数カ月かかるうえ、iPS細胞を移植するとがん化する懸念がある。家田助教らは、マウスの胎児の心臓で活発に働いている14の遺伝子を選び、心臓の細胞を束ねている線維芽細胞にウイルスを使って導入したところ、心筋細胞に変化することを発見。14の遺伝子のうち、特定の三つの遺伝子があれば、1~2週間で心筋細胞が作れることが分かった。
作られた心筋細胞が拍動するのも確認された。この心筋細胞をマウスの心臓に移植しても、iPS細胞のようながん化は見られなかった。心臓だけでなく、尾の線維芽細胞からも同じ方法で作ることができた。この心筋細胞を「誘導心筋細胞(iCM細胞)」と名づけた。
今後、人間の細胞でも同じように心筋細胞が作れるか調べる。人に応用できれば、外科手術をせずに、患者の心臓に細い管を通じて3種類の遺伝子を送り込み、患者の体内で心筋細胞が作れる可能性がある。
6日付の米科学誌セル(電子版)に発表する。(福島慎吾)
《朝日新聞社asahi.com 2010年08月06日より引用》