民間種牛6頭、悲しみの別れ 殺処分場へ搬出 口蹄疫
2010年07月17日13時24分
家畜の伝染病、口蹄疫(こうていえき)の問題で、ワクチン接種地域で最後まで処分されずにいた宮崎県高鍋町の畜産農家、薦田長久(こもだ・ながひさ)さん(72)の種牛6頭について、県は17日、殺処分場となる共同埋却地へ搬出した。16日に東国原英夫知事の説得に折れ、殺処分を受け入れた薦田さんは、種牛の載せられたトラックをじっと見つめて見送った。
薦田さんの自宅兼農場には午前9時ごろ、殺処分作業に当たる家畜防疫員が白い防護服姿で到着。薦田さんは、種牛に手向ける花束や酒を託した。殺処分に応じない薦田さんに一定の理解を示していた政府の現地対策本部長の篠原孝農林水産副大臣も駆けつけ、薦田さんに「私の力が及ばず殺処分することになり、すみませんでした」と声をかけたという。
薦田さんは報道陣に「非常に残念だが、色々迷惑をかけるのは避けたいと思った」と憔悴(しょうすい)した様子で話した。
県によると、種牛の殺処分と埋却が終了すれば、国と協議し、薦田さんの農場から半径10キロ内に残された家畜などの移動制限区域は18日午前0時に解除される見通し。これにより、同県内で残る移動・搬出制限区域(発生農場から半径10キロ内・10~20キロ内)は宮崎市の発生農場を中心とするもののみとなる。(松井望美)
《朝日新聞社asahi.com 2010年07月17日より引用》