20100618b

伝統400年「牛越祭」中止 口蹄疫配慮 宮崎・えびの


2010年06月18日20時8分

牛越祭では飼い主らに手綱を引かれた牛が丸太の上を跳ぶ=2008年7月28日、宮崎県えびの市西川北、知覧写す

牛越祭では飼い主らに手綱を引かれた牛が丸太の上を跳ぶ=2008年7月28日、宮崎県えびの市西川北、知覧写す

宮崎県えびの市に伝わる牛が主役の伝統行事「牛越祭(うしごえまつり)」の中止が決まった。牛が華麗な跳躍を披露するユニークな祭りで、例年大勢の見物客でにぎわうが、地元保存会が県内で家畜伝染病・口蹄疫(こうていえき)が流行している事態に配慮した。

 牛の無病息災や畜産の繁栄を祈った祭りで、約400年の歴史がある県指定の無形民俗文化財。同市の西川北地区の住民らが毎年7月28日、地区の菅原神社で催してきた。

境内で約50センチの高さに渡した丸太を牛に跳び越えさせる。例年20頭前後が出場し、見事なジャンプを見せた牛には観衆から大きな拍手と喝采が送られるが、丸太の前でぐずる牛には励ましや笑いが送られるというユーモラスな面も持ち合わせている。

だが、今年は、その牛を脅かす口蹄疫が猛威を振るう。えびの市では、徹底した消毒などの清浄化の取り組みが功を奏し、今月4日に、家畜などの移動・搬出制限が解除されたが、その後、新たに都城、宮崎、日向、国富の4市町で感染が確認され、県全体に被害が広がりつつある。

保存会の白坂重之会長(75)によると、「神事だけでも」との話もあったが、いまも被害に苦しむ地域の人々や、人や牛が集まることによる感染の危険性に配慮し、決断したという。神事は9~10月に延期する。「悲しいことだが、仕方がない。来年は他の地区にも呼びかけ、出場する牛の頭数を増やして盛大にやりたい」と白坂会長は話している。(知覧哲郎)

 

《朝日新聞社asahi.com 2010年06月18日より引用》

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です