都城の牛3頭、遺伝子検査で口蹄疫と確認 208頭処分
2010年06月10日10時40分
- 埋却作業に向かうため防護服に着替え、長峯誠・都城市長(奥中央)の話を聞く市職員ら=10日午前5時18分、宮崎県都城市の高崎総合支所、神澤和敬撮影
- 消毒用の消石灰の白煙が舞う牛の埋却処分現場=10日午前、宮崎県都城市、同市提供
- 口蹄疫の症状が出た3頭を含む計208頭の牛が殺処分された=10日午前10時24分、宮崎県都城市高崎町、朝日新聞社ヘリから、溝越賢撮影
- 宮崎、鹿児島両県で今後、移動・搬出制限区域となる見込みの市町は次の通り。 【移動制限区域】宮崎県都城市、小林市、宮崎市、高原町 【搬出制限区域】同県三股町、綾町、国富町、鹿児島県曽於市の一部
家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)の問題で、全国屈指の畜産地帯・宮崎県都城市の農場で新たに見つかった、口蹄疫特有の症状を示した牛3頭について、同市は10日早朝、採取した検体を動物衛生研究所海外病研究施設(東京都小平市)で遺伝子検査した結果、陽性だったと明らかにした。農林水産省と同県は9日夕、遺伝子検査の結果を待たずに症状で口蹄疫の疑いと診断。
都城市によると、検査結果が出る前の10日未明、症状が出た3頭を含め同じ農場で飼われていた計208頭の牛の殺処分を終えた。同県は10日、家畜を動かすことが禁じられる移動制限区域(発生農場から半径10キロ)と、家畜を運び出せない搬出制限区域(同20キロ)を設定する。
移動制限には都城市、小林市、宮崎市、高原(たかはる)町の3市1町、搬出制限には三股(みまた)町、綾(あや)町、国富(くにとみ)町が入る。都城市と接する鹿児島県曽於(そお)市も一部が搬出制限区域に含まれる見込み。農水省によると10日朝の段階で、この農場周辺でほかに症状を示す家畜がいるという連絡は入っていない。
だが農水省と宮崎県は、周辺農場に口蹄疫の症状を示す家畜がいないかの調査を10日午前から実施。もし確認されれば、移動制限区域など一定の圏内で接種後の殺処分を前提としたワクチン接種を検討している。ワクチン接種はすでに県東部の川南町を中心とした地域で実施されている。今後、周辺の複数の農場で症状が出るなど拡大が懸念される状況になったら、ワクチン接種を待たずに一定地域の家畜を処分する予防的殺処分の可能性もあるという。
山田正彦農水相は10日、「都城はえびの市と同じように早期に抑え込まなければいけない。いま調査をしているが、燃えさかる状況じゃない。2、3例出てきたらまた考える」と話した。
10日、農水相に就いた山田前農水副大臣の後任となった篠原孝農水副大臣が宮崎入りした。政府の現地対策本部長として陣頭指揮を執る。
隣接する都城市での口蹄疫発生を受け、鹿児島県の伊藤祐一郎知事は同日午前、都城市からの抜け道をすべて封鎖し、物流を県道など幹線道路に限定した上で全車両の消毒を徹底することを検討する考えを明らかにした。
宮崎県では4月20日の1例目以降、口蹄疫の発生は東部の川南町を中心とした一帯と南西に約70キロ離れたえびの市に限られていた。都城市は同県西部に位置し、今回発生した同市高崎町の農場は両地域から30~40キロ離れている。
都城市の2006年の農業産出額は肉用牛151億円、豚225億円で、いずれも市町村別で全国1位という有数の畜産地帯。鹿児島県も畜産県として知られており、影響は大きい。
これで感染確定・疑い例は計280例、発生に伴う殺処分対象は約18万6千頭となった。
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宮崎、鹿児島両県で今後、移動・搬出制限区域となる見込みの市町は次の通り。
【移動制限区域】宮崎県都城市、小林市、宮崎市、高原町
【搬出制限区域】同県三股町、綾町、国富町、鹿児島県曽於市の一部
《朝日新聞社asahi.com 2010年06月10日より引用》