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ワクチン効果? 口蹄疫発生、減る傾向 楽観戒める声も


2010年06月09日5時22分

口蹄疫の新たな発生農場数

口蹄疫の新たな発生農場数

宮崎県での家畜伝染病、口蹄疫(こうていえき)の問題で、新たな感染の発生がここ数日、減っている。5月下旬に実施したワクチン接種の効果が出てきたとする見方の一方、依然として感染した家畜の殺処分が終わっていないことから、楽観を戒める声も強い。新たな感染は、8日が3農場、6、7の両日が1農場ずつ、5日が3農場だった。1日に10を超えることもあった5月中~下旬に比べると減少が目立つ。山田正彦新農水相は8日、「ワクチンは確実に効いている」と話した。

ワクチン接種は発生農場から半径10キロの範囲の全家畜が対象となった。発症時に排出するウイルスの量が牛の1千倍とされる豚を優先して5月22日から行われ、豚は24日までに、牛は26日までにほぼ終了。対象は計約12万頭にのぼった。ワクチンは効果が出るまで豚で2週間、牛で1週間かかると言われ、豚では6月5~7日、牛で5月30日~6月2日に効果が出てくる計算だ。

今回利用したのは、死んだウイルスを使った不活化ワクチン。国内に生産施設はなく、欧州から70万頭分輸入、備蓄されていた。ワクチンはウイルスの細かい型や家畜の個体差などで必ず効果が出るとは限らないが、農水省は接種前に今回のウイルスに一定程度効くと確認した、としている。ワクチンの単価は1回当たり100円程度という。

ワクチンは感染そのものを防ぐことと、仮に感染しても排出するウイルスの量を減らすことが期待されている。感染しても水疱(すいほう)ができるなどの症状がなければ、ウイルスをまき散らすことはないという。ただ、ワクチンは発症を抑え、感染しても発熱や水疱などの症状が出ないために畜産農家らが気付かず、届け出が減った可能性もある。

発生農場にいて殺処分されるべき家畜が、依然として約3万頭も処分を待っている。ワクチン接種対象地域の外側の地区で家畜を食肉にして早期に出荷する対策は、ほとんど進んでいない。

農水省は「ワクチンの効果はもう少し後に検証する必要があり、ワクチン接種後も消毒など防疫作業の徹底をお願いしたい」としている。(大谷聡)

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《朝日新聞社asahi.com 2010年06月09日より引用》

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