宮崎・都城市で口蹄疫の疑い例 牛3頭、飛び地感染か
2010年06月09日22時59分
- 宮崎県都城市の農場で口蹄疫の症状を示す牛が3頭見つかった
- 口蹄疫の感染疑い発生を受け、報道陣の取材に応じる長峯誠・都城市長=9日午後9時45分、宮崎県都城市、知覧哲郎撮影
- 宮崎県都城市では口蹄疫防疫対策本部の緊急会議が開かれた。立っているのは長峯誠市長=9日午後9時30分、同市役所、知覧哲郎撮影
家畜伝染病・口蹄疫(こうていえき)の問題で、新たに宮崎県都城(みやこのじょう)市の農場で9日、口蹄疫の症状を示す牛が3頭見つかり、農林水産省と同県は、遺伝子検査の結果を待たずに症状で口蹄疫の疑いと判断した。同日夜にも同じ畜舎の牛を含む計9頭を殺処分する。都城市は、感染多発地である川南(かわみなみ)町や都農(つの)町などの県東部や、えびの市などの県西部から約50キロ離れた鹿児島県境にあり、鹿児島県とともに畜産が特に盛んなことで知られる。口蹄疫が新たな地域に飛び火した。
農水省や宮崎県によると、症状を示す牛が見つかったのは約250頭の牛を飼育する農場。獣医師が舌のただれやよだれなどの口蹄疫特有の症状を発見し、同県に通報した。同県は9日夜、遺伝子検査のため牛の検体を送り、動物衛生研究所海外病研究施設(東京)で遺伝子検査をする。ただ、県の家畜防疫員は検査結果を待たずに現場で判断することができる。牛の写真を見た農水省も、口蹄疫特有の症状と確認しており、検査結果を待たずすみやかに殺処分に入る。
9日夜中にも、3頭と同じ畜舎にいた6頭を埋める処分を実施し、10日朝にも出る遺伝子検査の結果を経て、同日中に同じ農場の牛をすべて殺処分する予定。半径10キロの圏内は家畜の移動が制限されるが、この地域の家畜へのワクチン接種について、山田正彦農水相は「まだその段階ではない」と話した。家畜の運び出しが制限される半径20キロでは一部が鹿児島県内にかかる。
農水省がまとめた2006年の農業産出額では、都城市は肉用牛151億円、豚225億円でいずれも市町村別で全国1位。
宮崎県の口蹄疫は、県東部の都農町で4月20日、牛に最初の症状が見つかった。同町周辺では豚にも症状が出て爆発的に広がったが、6月に入って感染農場が減り、ワクチン接種の効果とみられていた。県東部の多発地域から西に約70キロ離れたえびの市でも4月28日に症状を示す牛が見つかったが、えびの市では感染の広がりは4農場にとどまり、6月4日に家畜の移動などの制限が解除されていた。(大谷聡)
《朝日新聞社asahi.com 2010年06月09日より引用》