宮崎ブランド豚も打撃 口蹄疫 母豚700頭殺処分に
2010年06月02日2時39分
口蹄疫(こうていえき)の感染拡大で、宮崎県のブランド豚肉「ハマユウポーク」も被害を受けている。JA宮崎経済連が同県川南町で飼育していたハマユウポークの母豚約700頭が全頭殺処分された。さらに、隣接する県畜産試験場川南支場では、母豚の親「原種豚(げんしゅとん)」候補も殺処分に。ダブルパンチで関係者は頭を抱えている。
ハマユウポークの原種豚は、県が10年以上かけて独自に開発した「ハマユウ」系統のランドレース種と大ヨークシャー種。この2種を交雑させてできた母豚から産まれた豚のうち、日本食肉格付協会の肉質等級で「中」以上の肉を指す。
JA宮崎経済連によると、2008年度の同県の豚出荷頭数は約140万頭。うち約9万頭が「ハマユウポーク」候補だった。出荷された「候補」に農家が特色あるエサを与えるなどして、「かんしょ豚」などの派生ブランドも生産されている。ハマユウポークは、宮崎県内への出荷が多いが、九州や東海地方などでも取り扱われている。
同経済連の川南種豚センターでは、5月1日に感染疑い例が確認され、母豚を含む3882頭が殺処分された。ただ、生産拡大やリスク分散を狙って08年に開設した高原種豚センター(同県高原町)で飼育中の母豚約900頭は残った。同センターは、口蹄疫が発生した同県えびの市を中心にした半径20キロの搬出制限区域からわずかに外れる。同経済連は、この区域の安全性が確認されるまで出荷を自粛する方針だ。
川南支場の原種豚候補は、近く原種豚に格上げされる予定だった。現役の原種豚は、高原町にある同経済連の系統原種豚センターにおり、母豚の生産は続けられる。
ただ、原種豚候補の殺処分により、次代の原種豚は、改めて交雑と選抜を繰り返してつくり直すことになる。系統原種豚センターは「さらに数年かかる」とし、山下和義場長は「原種豚もやり直し、母豚もすぐには増えない。どちらも大打撃だ」と嘆く。
同経済連の上田和久養豚課長は「ハマユウポークの生産を拡大しようとしていた矢先だった。豚全体の出荷にも影響が及んでおり、そのダメージも心配だ」と話している。(中島健)
《朝日新聞社asahi.com 2010年06月02日より引用》