20100526

口蹄疫拡大防止へ強制的に殺処分 与野党、特措法案合意


2010年05月26日22時25分

被害が拡大している家畜伝染病、口蹄疫(こうていえき)への緊急対策を講じる「口蹄疫対策特別措置法案」が26日、衆院農林水産委員会で全会一致で可決された。感染拡大を防ぐための予防的な殺処分を強制的に行えるようにするほか、家畜の埋却用地を農家でなく国の責任で確保するようにすることなどが柱。27日に衆院を通過し、28日の参院本会議で成立する見通しだ。

特措法は議員立法。民主、自民、公明がそれぞれ用意した法案をもとに進めた修正協議が26日夜に合意、決着した。

現行の家畜伝染病予防法を補完するもので、今年4月以降に発生が確認された口蹄疫が対象。2012年3月末までの時限立法で、必要な財政措置の総額は1千億円としている。

殺処分した牛や豚の埋却地は、これまで農家の責任で確保することになっていた。宮崎県内では埋却地の確保が追いつかず、地元から対策を求める声が上がっていた。このため、国が用地の確保や、作業に従事する人員の派遣に責任を持つようにした。

感染拡大を防ぐための消毒については、現行法では感染の疑いのある家畜に触れた農家などに義務づけられているが、指定地域を通行する車両などにも義務づけた。

感染の疑いがある家畜などを殺処分した場合、農家に支払われる手当金はこれまで5分の4を国が負担し、5分の1を地方が負担していた。特措法では「必要な財政措置を講じる」として、事実上国が全額負担。被害農家への支援として、経営再建資金の無利子貸し付けも盛り込んだ。

また、感染拡大を防ぐため、国が指定した地域内で、発生農場以外の健康な家畜についても強制的に殺処分できるようにした。これまでは、農家の同意が必要だったため、予防的な殺処分が進まない一因になっていた。

具体的には、発生地から10キロ以内の移動制限区域内では、都道府県知事が農家に対して殺処分を勧告できるようにし、従わない場合は担当者に殺処分を命じる。国が知事に代わって感染拡大を防ぐためのワクチン接種を行うことも可能にした。

《朝日新聞社asahi.com 2010年05月26日より引用》

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