牛・豚の運搬、特例で許可 国道10号
2010年04月22日
県内で家畜伝染病の口蹄疫(こう・てい・えき)に感染した疑いのある牛が見つかったことを受け、県は21日までに一例目の感染疑い例が確認された都農町の農場から半径3・5キロ内にある牛と豚の飼育農家計90戸のうち、50戸に聞き取りを済ませた。また、幹線道の国道10号に限って、移動制限区域内でも牛や豚の運搬を特例で認めると発表した。 県畜産課によると、21日までの農家の聞き取りで異常はなかったが、半径10キロの移動制限区域を含む半径20キロの搬出制限区域内には、牛と豚を飼育する農家が約1300戸あるという。2例目の感染の疑いのある牛が見つかった川南町の農場で飼育する牛計65頭については殺処分する方針。ただ、死体を埋める用地が見つからず、処分は22日以降になる見込みという。
移動制限区域に関連して、県は国道10号が県北と県南を結ぶ主要幹線道であることを考慮。国と協議して、区域外から域内に入り、区域外の食肉処理場に向かう場合を条件とし、本来は禁止されている牛と豚の運搬を特例で認めることにした。この場合も、日向市などに設置された消毒ポイントを通って消毒済み確認書と通過許可車両証を受けとる必要がある。
午後には、県口蹄疫防疫対策本部会議があり、東国原英夫知事や県幹部らが今後の対応を協議した。
前回、口蹄疫が発生した2000年は、県内で計35頭が殺処分されたが、今回はこれを大幅に上回る約70頭の殺処分が決まっている。東国原知事は「畜産業を取り巻く環境は厳しさを増しているうえ、規模が前回とは違う。慎重に対応したい」と述べた。
この日は、県選出の国会議員らも相次いで訪れ、東国原知事と意見を交わした。 同日午前には、衆院農林水産委員会の筆頭理事を務める自民党の宮腰光寛氏や江藤拓衆院議員らが訪問。東国原知事が「感染した肉は市場に出回らないし、食べても人体に影響はないという正しい情報を発信していきたい」と説明し、宮腰氏は「しっかりした対応をとるよう農水省に申し入れる」と述べた。
午後には、民主党の道休誠一郎衆院議員らが県庁を訪問し、東国原知事は「市町村や県の財政負担ははかりしれない。(国からの)財政的配慮をお願いしたい」と要請し、道休氏は「政務3役にもしっかり伝えます」と応じた。
《朝日新聞社asahi.com 2010年04月22日より引用》