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消毒液や防疫服用意、市場の競り中止へ


2010年04月21日

隣県の宮崎県都農町で20日にあった口蹄疫(こう・てい・えき)発生疑いの一報は、畜産県・鹿児島にも衝撃を与えた。県では消毒液や防疫服を用意して万一に備える。感染した牛の流入を心配し、21日から一部の肉用牛の市場で競りを中止する。

20日午後、県庁で開かれた緊急の防疫対策会議では、生産者団体や県獣医師会、物流を担う県トラック協会など約20団体50人が参加。弓指博昭農政部長は「全国トップクラスの畜産業を持つ県内に口蹄疫が侵入した場合、甚大な被害になる。県内への侵入は絶対阻止しなければならない」と語った。

畜産業が盛んな鹿児島では、口蹄疫には特に敏感で、中国や韓国での発生を受け、1月と4月14日にすでに対策会議を開いて生産者団体などに注意を呼びかけている。

県内では2002年から口蹄疫対策として、県内2カ所に消毒液や防疫服などの防疫資材を備蓄している。00年の口蹄疫発生時に消毒液が不足して手に入りづらくなったことを教訓にしたという。

JA県経済連によると、口蹄疫の侵入を防ぐため、21~25日、曽於中央家畜市場の成牛市場など県内6市場の競りを中止すると決めた。小島博幸肉用牛課長は「牛、豚の消費量が持ち直してきたところでの騒動。風評被害が広がらなければいいが」と心配する。

県畜産課によると、県内の飼育頭数は牛約39万頭、豚は全国一の約134万頭。牛の海外輸出量は年間150トン程度で、全国の4分の1程度を占める。輸出先は香港やシンガポールなどという。

農林水産省は牛や豚の輸出を3カ月間停止する方針を明らかにしたが、県内業者に特段の影響は出ていない。

曽於市の南九州畜産興業(ナンチク)や阿久根市の阿久根食肉流通センターがシンガポールなどに牛肉を輸出した実績があるが、今のところ新たな輸出計画はないという。ナンチクでは口蹄疫発生の知らせを受け、工場に入る牛や豚の健康状態を入り口でチェックしているという。

 

《朝日新聞社asahi.com 2010年04月21日より引用》

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