雌雄産み分け、簡単に=精子の「違い」判別-広島大など
2019年08月14日03時18分
広島大の研究チームは、受精後に雌になる精子と、雄になる精子の「違い」を発見し、マウス実験で雌雄の産み分けに成功した。大分県との協力でウシやブタの産み分けを簡便に行う技術も開発。論文は14日、米科学誌プロス・バイオロジー電子版に掲載された。
畜産業では、家畜の種類や用途により雌雄で市場価値が異なることがあり、産み分け技術への需要が高い。しかし、同一の細胞(精子幹細胞)から分裂し、X染色体を持ち雌になる「X精子」と、Y染色体を持ち雄になる「Y精子」は機能的な違いはないとされ、効率的な選別は難しかった。
広島大の島田昌之教授らは、X染色体の遺伝子が作るたんぱく質の中から、TLR7とTLR8という受容体に着目。この受容体はX精子の尾部にあり、刺激を受けると精子の運動が止まることが知られていた。
そこで、試験管に入れたマウスの精子に培養液と受容体を刺激する薬剤を加えて約1時間待つと、運動を止めたX精子は下層に沈殿し、影響を受けないY精子が上層に集まった。
上層と下層からそれぞれ採取した精子を体外受精してマウスに移植すると、上層の約8割から雄が、下層の約8割から雌が生まれた。
研究チームは、大分県農林水産研究指導センターと協力し、ブタとウシでも実験を行った。上層の精子からは、ウシが受精卵の段階で約9割、ブタも人工授精で生まれた子の約7割が雄になった。
《時事ドットコムニュース 2019年8月14日より抜粋》