20091207

有機農法なのに農薬被害 除草剤、輸入牧草通じ牛堆肥に


2009年12月07日0時52分

ウシふん堆肥で生育障害になる仕組み

ウシふん堆肥で生育障害になる仕組み

国内では使われていない除草剤が輸入牧草を通じて国内の牛の体内に入り、その牛のふんや尿から作った堆肥(たいひ)を使ったトマトやキクが生育障害を起こしていたことを、畜産草地研究所などの研究グループが突き止めた。有機農法や資源利用型農業として利用促進されている堆肥で想定外の汚染が起こる可能性が示された。

グループによると、長野県や愛知県などのトマトやミニトマト、キクの生産農家の一部で2005年ごろから、牛の堆肥を使うと葉がちぢれたり、実が細長くなったりする生育障害が起きることが問題になった。当初は原因不明だったが、堆肥から日本では使われていない植物ホルモン系の除草剤のクロピラリドが検出され、これで栽培実験すると同様の障害が起きた。また、北米などからの輸入牧草からも微量に検出された。牧草は、干し草が束ねられ輸入される。

クロピラリドは、人間を含め哺乳(ほにゅう)類には無害で欧米などでは使われているが、残留期間が長く、日本では認可されていない。

農林水産省は因果関係が疑われた06年、都道府県に牛の堆肥の大量使用で生育障害の恐れがあることを通知。その後、クロピラリドが含まれる可能性がある堆肥の判定法などの対策マニュアルを作り、畜産草地研究所を通じて今年公開した。

農水省によると、クロピラリドの被害と思われる例は、06年に5県で9件報告されたが、それ以降は確認されていないという。(本多昭彦)

 

《朝日新聞社asahi.com 2009年12月07日より引用》

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