20091201

心筋、プリオンで選別 ES細胞分化、目印に 国循センター 【大阪】


2009年12月01日

マウスのES細胞(胚〈はい〉性幹細胞)の分化で、細胞の表面に現れるたんぱく質「プリオン」を目印に集めると、9割が心筋細胞になったという研究結果を国立循環器病センター研究所のチームがまとめた。心筋細胞を効率よく集める目印として期待できるという。米国心臓協会誌電子版に掲載された。

日高京子・遺伝子工学研究室長らは、マウスのES細胞の分化の過程で働くたんぱく質を網羅的に調べた。分化が始まって5日後から、一部の細胞でプリオンが働いていることに着目。プリオンが表面に現れるピークの7日目にこうした細胞を集めたところ、その9割が心筋細胞になったという。

森崎隆幸・バイオサイエンス部長は「この時期にプリオンが表面にあることが、その細胞が将来、心筋細胞に分化する目印になる」と話す。森崎部長らは、ヒトのES細胞やiPS細胞(人工多能性幹細胞)でも同様にプリオンが目印になるとみている。

プリオンは通常、脳や筋肉などの細胞に含まれるが、その役割はよく分かっていない。異常なプリオンが増えると、ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)や牛海綿状脳症(BSE)を引き起こすと考えられている。(木村俊介)

 

《朝日新聞2009年12月01日より引用》

 

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