20090509h

国内初の新型インフル感染確認 成田帰国の大阪の3人


2009年05月09日13時35分

厚生労働省は9日、成田空港の検疫で、米デトロイト発の便で帰国した大阪府内の日本人男性3人が、新型の豚インフルエンザに感染していることを確認したと発表した。国立感染症研究所でウイルスの遺伝子検査をした結果、新型インフルの陽性反応が出た。国内で感染者が確認されたのは初めて。

厚労省や府教委によると、感染が確認されたのは大阪府寝屋川市の府立高校の教員(46)と生徒2人(いずれも16)の計3人。市内の府立高3校の教員と生徒合わせて36人で、4月24日~5月7日に語学研修のためカナダのオークビルに滞在し、米デトロイトを経由して、ノースウエスト航空25便で8日午後4時半過ぎに成田に到着した。同便の乗客・乗員は約410人。3人のうち教員1人と生徒1人は、成田で検疫官が乗り込んだ機内で症状が確認された。厚労省は、生徒らの近くに座って「濃厚接触」の可能性がある乗客(最大52人)や、同行者らのうち、合わせて乗客47人、乗員2人の計49人に空港周辺の施設などにとどまってもらっている。検疫法にもとづき到着から10日間空港近くの宿泊施設で過ごしてもらう。濃厚接触の52人のうち13人は国外に出たという。

3人のうち1人は機内検疫の際には検疫官に体調不良を訴えず、サーモグラフィーでも発熱が見つからなかった。大阪方面への乗り継ぎのために機外に出てから体調不良を訴えた。

この1人が機内で座っていた席の周囲には、濃厚接触した可能性がある乗客らが最大11人いた。本来は空港近くの宿泊施設などにとどまってもらう対象だが、すでに入国したり、乗り継いで日本を出てしまったりした可能性がある。舛添厚労相は「感染する危険性がある」と話し、厚労省は全乗客に連絡を試みる。連絡がつけば地元の都道府県知事が自宅待機を求める。

教員は発熱やせき、関節痛などの症状があった。生徒2人は鼻水とせきがあり、うち1人は熱があった。3人は8日夜から千葉県成田市内の病院に入院。9日朝の時点で教員は熱があるが、生徒2人に熱はない。

政府は9日午前、新型インフルエンザ対策本部の幹事会を首相官邸で開き、当面はメキシコなどから到着した便を対象とした現行の検疫態勢を維持することを確認した。空港での検疫段階で見つけたことから政府は「国内発生」に当たらないと判断。「ただちに国内の感染拡大につながる可能性は低い」として、渡航制限などの新たな段階の対策にすぐには移行しない。世界保健機関(WHO)に感染者3人の確認を届け出る。

同日朝、記者会見した舛添厚労相は「(国内発生にすると)国民の経済活動や自由な動きを制限しなければならない。まだそこまでやらなくてもいいだろうという判断」と話した。

3人とも検疫の簡易検査でA型のインフルエンザと診断された。さらに同研究所でウイルスの遺伝子検査をしたところ、A型だが、通常の季節性インフルエンザのA香港型ではないことがわかり、さらにウイルスの表面にあるたんぱく質が、新型でA型の豚ウイルスと同タイプだった。カナダ政府のホームページによると、8日現在で同国内の新型インフルエンザ感染者は計242人。オンタリオ州は最も多い61人。

 

《朝日新聞社asahi.com 2009年05月09日より引用》

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