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新型の豚ウイルス流行、2月に警告 欧州の研究者ら


2009年05月04日12時34分

新型の豚インフルエンザが人に感染して大流行する恐れのあることを、欧州の研究者らが今年2月に警告していたことがわかった。スペインで昨年あった感染例などから、豚から人に広がる新しいウイルスができる可能性を指摘。2月19日付の専門誌ユーロサーベイランスに発表した。

欧州疾病対策センター(ECDC)の研究者らは、昨年11月、スペインで養豚場を家族で営む50代の女性から豚のインフルエンザウイルス(H1N1)が検出された例に注目した。女性は熱やせき、疲労を訴えて受診、症状は軽かったが、主治医に同様の症状が出て感染が疑われた。

主治医の感染は確認できなかったものの、今回の新型インフルのように豚の体内で人と鳥のウイルスが混じって新しいウイルスが生まれ、人に広がる可能性を指摘。豚の感染症の調査は不十分で強化が必要だと訴えた。

豚ウイルスの人への感染は、05年には米国で豚の解体を手伝った17歳の少年がインフルエンザ(H1N1)にかかり、76年には米兵の間で豚ウイルス(H1N1)が広がり1人が亡くなった例がある。米国では豚から人への感染は1~2年に一例ほど報告されているが、多くの専門家は毒性が高い鳥のウイルスを豚のウイルスよりも警戒していた。

東京大医科学研究所の堀本泰介准教授は「過去の大流行にも豚がかかわっており、人と豚が接触する機会がある場所では新型ウイルスが発生する可能性はある。監視の強化が重要なのは間違いない」と話している。(佐藤久恵)

 

《朝日新聞社asahi.com 2009年05月04日より引用》

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