新型インフル「米国内、深刻ではない」 政府高官ら発言
2009年05月04日10時18分
【ワシントン=勝田敏彦、櫻井林太郎】米疾病対策センター(CDC)で予防接種と呼吸器疾患の責任者を務めるアン・シャキャット博士は3日の会見で、新型の豚インフルエンザの米国内の状況について「事態が好転している兆しがある」と述べた。同日のテレビ番組で米政府高官も相次いで同様の発言をしており、世界の感染者数が千に近づくなか、米政府が国内の流行は心配されたほど深刻ではないと見ていることが明らかになった。
同博士はその根拠として、メキシコでウイルスの活動が頭打ちになったように見えることと、今回のウイルスの遺伝子の特徴が、1918~19年に世界で約4千万人が亡くなったとされるスペイン風邪の原因ウイルスの遺伝子と異なることを挙げた。同博士は「とはいうものの、気を緩めてはならない」と注意も呼びかけている。
CDCの3日のまとめによると、米国内の感染者は226人。前日から66人増えているが、同博士は「検査結果が遅れて出てきているためで、今後2、3日はこのような増加があるだろう」と述べ、それほど心配していないとの見方を示した。
また同博士は「私たちは秋に向けて備える必要がある」と述べ、季節性インフルエンザの流行が始まる秋ごろに「第2波」がある可能性があるとみて警戒を呼びかけた。
スペイン風邪では、18年6月ごろに小規模な第1波があり、それがいったん終息したあと、11月ごろに大規模な第2波が襲い、多数の死者が出ている。
一方、ナポリターノ国土安全保障長官やシベリウス厚生長官らは3日、米テレビの討論番組に相次いで出演し、やはり「事態が好転している兆しがある」と述べた。
世界保健機関(WHO)の3日のまとめでは、世界18カ国898人の感染が確認されている。
《朝日新聞社asahi.com 2009年05月04日より引用》