豚インフル、警戒レベルをフェーズ4に引き上げ WHO
2009年04月28日11時29分
- 27日深夜、記者団の質問に答えるWHOのケイジ・フクダ事務局長補=ジュネーブのWHO本部、南島写す
- ジュネーブで27日、会見する世界保健機関(WHO)のフクダ事務局長補(テレビ画面から)=AP
- WHOの警戒レベル(フェーズ)の定義
【ジュネーブ=南島信也】世界保健機関(WHO)は27日夕、豚インフルエンザに対する警戒レベルをこれまでの「フェーズ3」から「フェーズ4」に引き上げることを決めた。メキシコや米国を始めとする世界各地での急速な感染拡大を受け、人から人への感染が増加する段階になったことを初めて認めるものだ。
マーガレット・チャン事務局長は委員会終了後、声明を出し、「引き上げは世界的大流行(パンデミック)を引き起こす可能性が増したことを示している。だが、それが不可避ということではない」と強調。「ウイルスの広がりを考えると、発生を封じ込めるのは不可能だと考える。いかに抑えていくかに焦点を当てるべきだ」とし、被害拡大の防止に全力を尽くすべきだとの考えを示した。
声明はまた「国境封鎖や渡航制限を行わないよう勧告する」とし、「季節性インフルエンザ用のワクチンの製造を続ける段階だ」と強調した。
WHOのケイジ・フクダ事務局長補は委員会終了後、記者会見し、警戒レベル引き上げの理由について、疫学上のデータとウイルスの毒性など「純粋に専門的見地から決定した」と説明。1段階の引き上げにとどまったことについてフクダ氏は「地域社会レベルでの持続的な感染拡大が広がっている証拠を確認できなかったため」とした。ただ、警戒レベルの一層の引き上げについては「状況次第で引き上げる可能性もあるし、戻すかもしれない」と含みを持たせた。
WHOは被害が拡大しているメキシコなどに対して、感染拡大の防止策と監視体制の強化などを求めるとともに、まだ感染報告のない国々についても、パンデミックに対する準備やワクチンの備蓄などを呼びかける。
WHOは当初、28日に2度目の緊急委員会を開く予定だったが、感染の広がりを受けて27日夕に前倒しで開いた。
《朝日新聞社asahi.com 2009年04月28日より引用》