豚インフルの疑い、メキシコ死者103人 カナダも確認
2009年04月27日12時2分
【ワシントン=勝田敏彦、ロサンゼルス=堀内隆】豚インフルエンザの拡大を受け米政府は26日、全米に公衆衛生上の緊急事態宣言を出すとともに、5千万人分備蓄している抗ウイルス薬のタミフルとリレンザの4分の1を配ることを決めた。メキシコでは豚インフルエンザの疑いのある死者が100人を超えた。カナダでは初めて6人の感染が確認され、感染地域は3カ国に広がった。
緊急事態宣言についてナポリターノ米国土安全保障長官は記者会見で、財政支出をはじめ態勢を整えるハリケーン対応などと同じ手続きであることを強調。過剰反応しないよう求めた。
米疾病対策センター(CDC)のリチャード・ベッサー所長代行は、手洗いの励行など、普通のインフルエンザ対策と同じ注意を呼びかけ、「米国内の流行はメキシコほど深刻ではない」と述べた。CDCは当初、米国内の感染者の数を21人と発表したが、20人に修正。同所長代行は、米国の感染者の症状が軽いことについて原因究明を進める方針も示した。
しかし、「ウイルスの変異は非常に予想しにくいし、状況に応じて国民が取るべき行動は変わる」として注意を呼びかけた。豚インフルエンザに対応するため新たなワクチン生産の検討に入ったことも明らかにした。
一方、メキシコのコルドバ保健相は、豚インフルエンザの疑いがある死者が26日、メキシコ市や北部ヌエボレオン州で6人確認され、全国の豚インフルエンザの疑いがある死者が103人になったと発表した。うち22人が豚インフルエンザと確認された。感染者数も1614人に増えた。カルデロン大統領は国民向けメッセージで、患者の大半が退院したことを明らかにし、冷静になるよう呼びかけた。
また、カナダ保健当局などによると、感染が確認された6人のうち4人はノバスコシア州の私立高校生で、4月上旬にメキシコへの修学旅行に参加。2人はブリティッシュコロンビア州で確認された。いずれも症状は軽い。
感染が疑われる例も各国で増えている。メキシコから戻った高校生10人に豚インフルエンザ感染の疑いがあるニュージーランドでは、別の学校の3人もインフルエンザ症状を示していることが分かったほか、米国から帰国した2人にも感染の疑いが出ている。
また英スコットランド自治政府の医療当局は26日、メキシコから先週帰国した2人が豚インフルエンザに感染していないか検査を受けていることを明らかにした。
《朝日新聞社asahi.com 2009年04月27日より引用》