「中国へ5回売った」 畜産農家が供述 和牛受精卵流出 【大阪】
2019年04月09日
和牛の受精卵と精液が検査を受けずに中国に持ち出されそうになった事件で、受精卵などの流出元とされ、家畜伝染病予防法違反などの容疑で逮捕された畜産農家の松平哲幸容疑者(70)=徳島県吉野川市=が、「中国に持ち出されると知りつつ5回販売した」と供述していることが大阪府警への取材でわかった。一方で、依頼主が何者かは明かしていないという。
生活環境課によると、中国への運搬を指示した男(51)=同法違反罪などで起訴=の供述や、男の携帯電話に残っていた松平容疑者との通話履歴、運搬役の男(64)=同=の渡航歴などを踏まえ、松平容疑者の牧場で採取された受精卵などが2014年以降、中国側に断続的に持ち出された恐れがあるとみている。
5回目に販売したとされる受精卵などは昨年7月に運搬役が中国に持ち込もうとしたが、輸出に必要な検査を受けていなかったため中国当局が認めなかった。松平容疑者はこれについて「闇ルートの取引」とし、譲渡に必要な証明書なしに販売したと説明。さらに「昨年4月か5月に620万円を知らない男から手渡しで受け取った」とも供述したという。
大阪地検は8日、松平容疑者を家畜伝染病予防法違反幇助(ほうじょ)罪などで起訴した。一連の事件を手助けしたにとどまると判断したとみられる。
《朝日新聞社asahi.com 2019年04月09日より抜粋》