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豚インフル、国内でも警戒の動き 空港などで注意喚起


2009年04月25日14時2分

豚インフルエンザへの対応を話す厚生労働省健康局結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長の難波吉雄室長(右)と江波武志同課長補佐=25日午前、東京・霞が関、林敏行撮影

豚インフルエンザへの対応を話す厚生労働省健康局結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長の難波吉雄室長(右)と江波武志同課長補佐=25日午前、東京・霞が関、林敏行撮影

メキシコで約60人が死亡したとされる豚インフルエンザの感染問題。ゴールデンウイークに入った国内でも、警戒する動きが広がった。 千葉・成田空港には25日朝、メキシコ市発のアエロメヒコ航空機が到着した。厚生労働省成田空港検疫所によると、体調不良を訴えた旅行客はいなかったという。

厚労省によると、乗員・乗客計177人のうち、40代の日本人女性1人が旅行中にかぜにかかったと訴えていたが、すでに症状が治まってから10日以上たっており、「感染の恐れはない」と判断したという。

検疫所はメキシコからの入国者に、通常実施しているサーモグラフィーによる体温測定に加えて、健康状態に異常がないか呼びかけている。米国経由でメキシコに向かう可能性のある旅行客が乗る便ではリーフレットを配ったり、ポスターを掲示したりして注意を呼びかける。

米国シカゴに向かう川崎市の会社員後藤浩さん(56)は「怖いですね。ただ、どうしたらいいかわからない」と不安げに話した。

厚生労働省は25日、記者会見を開き、「メキシコからの帰国者で発熱やせきなどの症状がある場合は、検疫所に相談してほしい」と注意を呼びかけた。同日夕方までに省内に電話相談窓口(03・3501・9031)を設置、一般からの相談に応じる。メキシコや米国・カリフォルニア州への渡航者には、マスクの着用や手洗い、うがいの徹底を訴えるチラシを空港などで配る。

一方、同省は24日夜、省内に「情報共有連絡室」を設置。都道府県の担当部署に、注意を呼びかけるメールを送った。メキシコでは3月末以降、人への感染が疑われるケースが発生したため、万が一、メキシコからの帰国者が医療機関や保健所などに異常を訴えてきた場合に備え、現地から早急にウイルスサンプルを入手し、豚インフルに対する診断方法や診療体制が構築できるのかについても検討していくという。担当者は「一般にインフルエンザの潜伏期間は7~10日程度。それ以前に帰国して症状がない人は心配する必要はない。正しい情報に基づいた冷静な対応をお願いしたい」と話した。

同省結核感染症課の担当者は「国内では、今回判明しているタイプの豚インフルに対応した経験はない。通常の季節性インフルエンザか、新型かは世界保健機関(WHO)が判断するが、決定までに時間がかかる場合は、国内でも独自の対応を考えていかなければならない」としている。

一方、農林水産省も24日深夜、米国など海外から輸入された生きた豚にせきや発熱などのインフルエンザの症状が見られる場合、検査するよう全国の動物検疫所に通知した。輸入豚肉については、加工時に殺菌処理されているため検疫を強化する必要はないとしている。

米疾病対策センター(CDC)によれば、豚インフルエンザウイルスは豚と直接接触した場合などを除き、通常は人に感染しない。また、豚肉や豚肉製品を食べてもウイルスに感染することはない。一般のウイルスと同様に加熱すれば死滅するという。

生きた豚は昨年、アメリカからは164頭輸入されたが、品種改良や繁殖用で、食用ではない。メキシコからはなかった。農水省動物衛生課は「今のところ国内で人への感染は報告されておらず、冷静に見ている」としている。

 

《朝日新聞社asahi.com 2009年04月25日より引用》

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