豚インフル 町にマスク姿、全教育機関休校 メキシコ市
2009年4月25日12時4分
【ワシントン=勝田敏彦、ロサンゼルス=堀内隆】若者を中心に豚インフルエンザの疑いがある死者が出ているメキシコ市では、24日から週末を挟んで27日まで、幼稚園から大学まですべての教育機関が休校になった。政府は、準備量の少ない通常のインフルエンザワクチンに代えて抗ウイルス薬で対応する方針を表明。発熱などの症状がある場合は旅行を控えることを求めるなど、感染の拡大防止に懸命だ。
同市にある日本大使館によると、市内は特に混乱した様子はないが、町を行く人の多くがマスクを着用している。官庁の一部では「外部の会合に出て感染しないように」との指示が職員に出ているという。握手やあいさつ代わりのキスが普通のお国柄だが、政府はこうした身体接触を控え、人の集まるところには近づかないよう国民に呼びかけている。メキシコ紙ウニベルサルによると、24日に記者会見したメキシコ市のアウエド保健相は、対策として当初予定していたワクチン接種を取りやめ、抗ウイルス薬で対処すると述べた。製薬会社は毎年の流行が予測されるウイルスの型に合わせて最小限の量しかワクチンを生産していないうえ、豚インフルエンザウイルスは、人が普通に感染するインフルエンザウイルスとは違うため、予防が難しいなどの事情がある。
連邦政府のコルドバ保健相は記者会見で「抗ウイルス薬は十分な量がある。豚肉を食べても感染しない」と市民に冷静な対応を呼びかけた。また「流行はコントロールできているが、予防措置を強める必要がある」と述べた。
ソルデメヒコ紙によると、メキシコ市の国際空港では、乗客に質問票が配られ、発熱や頭痛などインフルエンザの症状のある人には旅行を取りやめるよう当局が求めている。バスターミナルではそうした措置はとられていないという。
《朝日新聞社asahi.com 2009年04月25日より引用》