20090407

宮崎県産和牛の精液143本盗難 県、2年間公表せず


2009年04月07日13時15分

盗難にあった容器と同型のストロー。長さ約13センチ、直径3ミリ=宮崎県高原町の県畜産試験場

盗難にあった容器と同型のストロー。長さ約13センチ、直径3ミリ=宮崎県高原町の県畜産試験場

宮崎県畜産試験場(高原町)で07年、県産和牛の品種改良などのために保管中の冷凍精液の入った容器143本が盗まれていたことが7日、分かった。同県産の和牛は07年、「和牛の五輪」と呼ばれる国内の品評会で最高賞を射止めるなど、ブランド牛として人気が上昇している。県から被害届の提出を受けた県警小林署が窃盗事件として調べているが、県は外部には公表していなかった。

県によると、盗まれたのは、優良な血統の県産牛5頭分の精液。0.5ccの容器143本が盗まれているのに07年3月、試験場の職員が気づいた。県産牛の種牛は現在、県家畜改良事業団(同県高鍋町)が61頭分を管理し、試験場は事業団から購入するなどして、人工授精室で保管。県産牛の品種改良や飼料の改良などを行っていた。盗まれた143本は試験場が保管していた3600本の一部。

東国原英夫知事は7日の定例記者会見で盗難にあった事実を明かした。試験場側も事情聴取を受けており、被害額は六十数万円。東国原知事は「捜査中なので公表は差し控えたが、公表が遅れたのは反省すべき点がある」と話した。

さらに東国原知事は「(流通経路などの履歴を管理する)トレーサビリティーがあり、精液を使っても入手経路がはっきりしない限り悪用できないはず。(盗んだ)目的が分からない」と話した。

宮崎牛は県内で生産されたり肥育されたりした黒毛和牛のうち、日本食肉格付協会が定める基準で、肉質をあらわす5段階評価で4以上の評価を受けた和牛。07年10月、5年に1回開かれる「第9回全国和牛能力共進会」に出品した全国38道府県の中で、全9部門のうち7部門のトップを宮崎牛が占めた。

インターネットの掲示板では「平茂晴(ひらしげはる)(長崎県の種雄牛の名称)の精液を持ってる長崎の方、売ってください」「精液50Kからだけどいいの?」などのやりとりが書き込まれている。

和牛精液の盗難をめぐっては、宮城県で01年に、冷凍保存されていた和牛の精液96本(時価約290万円)を盗んだとして、県の臨時職員が免職になったケースがある。

■宮崎牛 厳しい血統管理で知られ、体格に優れる「毛高系」、肉質が良い「但馬系」、バランスが良い「糸系」という全国3系統の和牛を宮崎県で独自に交配し、肉質と体格に優れた宮崎牛の種牛に改良した。

 

《朝日新聞社asahi.com 2009年04月07日より引用》

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