遺伝子1個でiPS細胞 独チーム、マウスで作製
2009年02月06日22時38分
複数の遺伝子を体細胞に導入して作る人工多能性幹細胞(iPS細胞)を、1個の遺伝子だけで作製することに、独マックスプランク分子医薬研究所などのグループがマウスで成功した。京都大の山中伸弥教授らが06年に4遺伝子での作製を報告後、米チームが2個まで減らし、遺伝子を使わない安全性の高いiPS細胞作りの競争が加速している。6日付の米科学誌セルに掲載された。
グループは、山中教授らの4個の遺伝子のうち、様々な細胞になる多能性の維持にかかわる遺伝子「Oct4」に注目。マウスから神経の元になる幹細胞を取り出し、この遺伝子を導入すると、3株のiPS細胞ができた。
できた細胞を調べると、受精卵から作る胚(はい)性幹細胞(ES細胞)と、性質や様々な細胞に成長する能力などが同等だった。ただ、今回使った神経幹細胞は、ES細胞に特徴的な酵素などがもともとよく働いており、山中教授らが使っている皮膚の細胞よりiPS細胞ができやすいと考えられている。(佐藤久恵)
《朝日新聞社asahi.com 2009年02月06日より引用》