(声)エサ代が高騰、瀕死の畜産業
2008年08月06日
畜産業 鈴木正子(埼玉県寄居町 55)
いま畜産農家は、これまで味わったことのない苦境に立たされている。
我が家は生後2カ月の子牛を買い、10カ月後に出荷する育成農家だ。7年前の牛海綿状脳症(BSE)の発生の時も大変な思いをしたが、今回の厳しさはあの時とは比べ物にならない。
本来飼料になるべき穀物までもが、バイオ燃料の開発とやらに使われてしまい、飼料代は高騰に次ぐ高騰。反対に、出荷する牛の価格は暴落し続け、今では半値にまで落ちている。石油の価格高騰に苦しむ漁業関係者は一斉休漁で注目してもらえたが、畜産農家は休業してもエサをやらねばならない。以前は100頭飼っていた育成牛を半分に減らしても、エサ代にかかる負担は以前と変わらない。
このままでは個人の努力では、もうどうにもならなくなっている。廃業も考えねばならない瀕死(ひんし)の状態だ。食糧の自給率アップが叫ばれているというのに、これでは逆ではないか。もう一刻の猶予もない。どうか日本の畜産農家を助けて欲しい。
《朝日新聞社asahi.com 2008年08月06日より引用》