ヒトクローン胚研究、年内にも解禁 文科省作業部会了承
2008年05月20日18時20分
クローン人間を生み出すおそれがあるとしてクローン技術規制法の指針で禁止されているヒトクローン胚(はい)作りを、難病研究の目的に限って認めるための指針改正案が20日、文部科学省科学技術・学術審議会の専門委員会で了承された。年内にも改正され、厳しい規制のもとで研究が解禁される。政府が公式にヒトクローン胚作りを認めた国は、英国などわずかしかない。
改正案によると、ヒトクローン胚作製は、難病治療に役立つ基礎研究目的で、胚性幹細胞(ES細胞)作りを前提とする場合だけ認められる。研究機関の実績やクローン胚のもとになる卵子(未受精卵)の入手方法、倫理審査の手続きなども定めている。
ヒトクローン胚から作るES細胞は、拒絶反応のない再生医療につながると期待されている。しかし、クローン胚は子宮に戻せばクローン人間誕生につながる。卵子の提供を女性が強要されるおそれもある。04年7月、総合科学技術会議が限定的に容認する方針を決定。文科省は約3年半かけて、科学者や医師、患者団体、生命倫理専門家らの話を聞きながら検討してきた。
ただ、現時点で改正案の条件をすべて満たす研究機関は国内にはない。また、クローン技術を使わず、拒絶反応のない再生医療が期待できる万能細胞(iPS細胞)が開発され、解禁を求める声は以前ほど強くなくなっている。
《朝日新聞社asahi.com 2008年05月20日より引用》