iPS産業探れ 京大と業界が懇話会
2008年04月03日22時31分
京都大は、山中伸弥教授らが作製に成功した万能細胞(iPS細胞)の産業応用を進めるため「産業応用懇話会」を設ける。国内の製薬会社や医薬機器メーカーなどに広く参加を呼びかけ、17日に初会合を開く。国主導で万能細胞の研究体制が整備され始めているが、京都大としても産業界と直接、接触する窓口を確保し、関西発のバイオビジネスの発展を狙う。
京都大によると、全国の製薬会社や医薬機器、電子機器メーカーなどを中心に参加を呼びかける。他の研究機関も加わる予定だ。最新の研究の現状や、京都大のもつ特許など知的財産の支援体制について、山中教授や担当者らが説明する。
研究者と産業界を結ぶ会合は、経済産業省や文部科学省主導で先月、都内で開かれた。だが、日程の調整がつかなかった山中教授が出席できないなど対話が十分進んでない面があった。今回の懇話会の開催は公表前から参加申し込みが来ているという。
iPS細胞は、細胞移植といった再生医療への応用だけでなく、新薬候補物質の毒性や効果の試験などに使うことが有望視されている。人での臨床試験の前に、患者のiPS細胞を使って薬の効果をみることで、開発期間やコストを削減することが期待される。
松本紘・副学長は「オールジャパンの協力体制を築くためにも、産業界と本音を話せる場を用意したい」と話している。
《朝日新聞社asahi.com 2008年04月03日より引用》