クローン牛、食べられる? 「一般牛と差異なし」報告
2008年04月01日20時53分
農林水産省所管の畜産草地研究所は体細胞クローン技術で作った牛とその子の肉質や乳の成分が一般の牛と比べて「生物学的な差異はない」との調査結果をまとめた。クローン技術では米国や欧州でも安全とする評価が相次いでおり、厚生労働省は1日、クローン技術で作った牛や豚とその子について、内閣府の食品安全委員会に食品としての健康影響の評価を諮問した。
同委員会が安全と評価すれば、国内で流通する可能性もある。ただ、消費者の不安もあり、厚労省によると、世界的にも流通実績はない。
体細胞クローンは、核を取り除いた未受精卵にコピー元となる動物の皮膚などの体細胞から核を移植して代理母の子宮に戻して出産させる技術。畜産草地研究所の調査では、体細胞クローン牛から生まれたクローン牛を調べ、栄養成分の分析やアレルギー試験などを実施。その結果、一般の牛から得た乳や肉との差はないと結論付けた。
米食品医薬品局(FDA)は今年1月、クローン技術で作った牛や豚、ヤギやその子から作られる肉・乳製品の安全性を従来の家畜と同等と評価。欧州食品安全機関(EFSA)も、クローン技術で作った牛と豚とその子から作られる食品を安全とする方向で意見集約を進めている。
日本では99年に農水省がクローン牛の国内出荷の自粛を要請。03年に厚労省の研究班は安全性を認める一方で、食品の安全性には「慎重な配慮が必要」としていた。今回、クローン牛の子についても安全性が確認され、「科学的な知見が出そろった」(厚労省の担当者)としている。
《朝日新聞社asahi.com 2008年04月01日より引用》