20080320

動物の愛目覚める「春告げホルモン」 名大グループ発見


2008年03月20日13時03分

ウズラ=名古屋大学提供

ウズラ=名古屋大学提供

春になると繁殖行動をとる動物たちは、どのように季節の変化を察知するのか? ウズラを調べた名古屋大大学院生命農学研究科の吉村崇・准教授らの研究グループが、日が伸びると甲状腺刺激ホルモン「TSH」の分泌が増え、脳に「春が来た」と伝えることを突き止めた。20日発行の英科学誌「ネイチャー」で発表する。

TSHは体温の調節など代謝をコントロールする働きが知られ、脳で果たす役割は解明されていなかった。植物に花を咲かせるホルモンは昨春、別の研究グループによって特定されたが、動物に春を教えるホルモンが見つかったのは初めて。

鳥類は、繁殖期以外は精巣や卵巣など生殖器をできるだけ小さくして、飛びやすい体を保っている。ウズラのオスは吉村准教授らのこれまでの研究で、春になるとDIO2という遺伝子が活発化して精巣が大きくなることが知られていた。

そこで、冬を想定して6時間の日照の下で育てたウズラのオスを20時間の日照に延ばし、DIO2よりも早く活発化する遺伝子を探した結果、TSHを作る遺伝子が該当した。脳の「視床下部」にTSHの受容体として働く特別なたんぱく質があることも確認され、人工的に脳にTSHを注射すると、精巣が大きくなることが確かめられた。

吉村准教授は「次はTSHを作る遺伝子のスイッチを入れる仕組みを解明することが課題。この成果を応用すれば繁殖期を長くするなど、家畜の生産性を上げることも期待できる」と話している。

 

《朝日新聞社asahi.com 2008年03月20日より引用》

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